オーストラリアのグラファイト(黒鉛)生産大手シラー・リソーシズ(Syrah Resources)は、米電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)との供給契約における「契約違反(不履行)」の解決期限を、2026年3月16日まで3度目の延長をすることで合意しました。
背景と経緯
- 契約内容: 2021年に締結。シラー社がルイジアナ州のヴィダリア(Vidalia)工場で生産する「活性陽極材料(Active Anode Material / AAM)」を、年間8,000トン、4年間にわたりテスラに供給する計画。
- 不履行の主張: テスラは2025年7月、ヴィダリア工場から納品されたサンプルが技術仕様を満たしていないとして、最初の不履行通知を発行しました。
- 繰り返される延期: 当初の解決期限は2025年9月16日でしたが、その後11月15日、2026年1月16日、そして今回の3月16日へと、合計3回延長されています。
- 解除の権利: テスラは、2026年2月9日までに技術仕様を満たす材料が供給されない場合、契約を解除する権利を保持しています。
関連情報と重要ポイント
1. 「脱中国」供給網の要(かなめ)
現在、EVバッテリー用グラファイトの精製・加工は中国が世界シェアの約90%以上を独占しています。シラー社のヴィダリア工場は、中国以外で初の大規模な垂直統合型(採掘から加工まで一貫して行う)拠点として期待されており、米国政府にとってもサプライチェーンの多様化に向けた戦略的要衝です。今回の延期には、米エネルギー省(DOE)の承認が必要とされています。
2. グラファイトの重要性
グラファイトはリチウムイオン電池の陽極(アノード)に使用され、バッテリー重量の約25%から30%を占める不可欠な材料です。
- 天然グラファイト: シラー社が扱う素材。合成グラファイトに比べコストが低く、環境負荷も少ないとされています。
- 活性陽極材料(AAM): 生のグラファイトを球状化・精製・コーティングし、バッテリーに使用できる状態にした高付加価値製品です。
3. 市場への影響
このニュースを受けて、シラー・リソーシズの株価は一時6.6%下落し、0.285豪ドル(AUD)と直近の安値を記録しました。投資家の間では、ヴィダリア工場での技術的な量産ハードルが高いことへの懸念が広がっています。
今後の注目点
- 2026年2月9日: テスラが契約解除権を行使するかどうかの技術判定期限。
- 2026年3月16日: 最終的な是正期限。これまでに技術的な課題をクリアし、正式な供給が開始されるかが焦点となります。
出典:https://batteriesnews.com/australias-syrah-resources-buys-more-time-for-tesla-graphite-supply-deal/


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