2026年1月6日、米国ラスベガスで開催中のCES 2026において、欧州の防衛技術企業ESOX(エソックス)グループは、次世代の全固体電池(ASSB)技術を防衛・安全保障プラットフォームへ本格導入すると発表しました。
この発表は、パートナーであるDonut Lab(ドーナツ・ラボ)社が世界初の量産可能な全固体電池を公開したことを受けたもので、ESOXは2026年後半の本格生産に向け、すでに軍事環境下での最終テスト段階に入っています。
防衛の常識を塗り替える「全固体電池」の戦略的統合
ESOXグループは、単なるエネルギー源の更新にとどまらず、バッテリーを「戦略的防衛能力」の中核と位置付けています。
1. 圧倒的なスペックと戦場での生存性
防衛用途に最適化されたこの固体電池は、以下の性能を備えています。
- エネルギー密度: 400Wh /kg。空中ドローンの航続距離を最大化し、ペイロード(積載量)の増加を可能にします。
- 温度耐性: -30℃から100℃という極限状態でも99%以上の容量を維持。北極圏から砂漠まで、あらゆる戦域での運用を保証します。
- 安全性: 可燃性の液体電解質を排除したことで、損傷時や被弾時の火災・爆発リスクを解消。兵士や機体の生存性を直接的に向上させます。
- 超長寿命: 100,000回の充放電サイクルに対応し、部隊の即応性維持とライフサイクルコストの劇的な削減に寄与します。
2. 実証プラットフォーム:X1およびX2
ESOXは、この技術を統合する具体的なハードウェアとして2つのプラットフォームを提示しました。
- X1 迎撃ドローン: 高度なAI目標捕捉を備えた対UAVシステム。2026年1月に初飛行、4月に発売予定。
- X2 UGV(無人地上車両): モジュール式電源アーキテクチャを採用した自律走行車両。固体電池の性能を地上で検証するためのテストベッドとして機能します。
💡 関連情報:地政学的リスクと「欧米主導」の供給網
今回の発表の背景には、深刻化するエネルギー・サプライチェーンの安全保障問題があります。
- 「脱・依存」へのパラダイムシフト: 現在、リチウムイオン電池の供給網は中国が圧倒的なシェアを占めています。ESOXは、地政学的に安全で入手しやすい材料を使用し、「ヨーロッパで設計・製造」する体制を強調。これにより、NATO加盟国および同盟国が特定の国に依存せず、独自の防衛能力を維持できる環境を整えます。
- 民生市場からのフィードバック: この全固体電池技術は、防衛用途に先駆け、2026年第1四半期にVerge Motorcycles(フィンランドの電動バイクメーカー)の新型モデルに採用されることが決定しています。民生分野で量産効果と信頼性を実証しながら、迅速に防衛分野へスライドさせる戦略を採っています。
まとめ
ESOXグループによる全固体電池の防衛転用は、ドローンや無人システムの運用限界を押し広げるだけでなく、欧州におけるエネルギー自給自足の新たな柱となる可能性を秘めています。2026年は、理論上の技術だった全固体電池が、戦場という最も過酷な環境で「実用化」へと大きく舵を切る歴史的な年となりそうです。


コメント