中国の電池最大手 CATL(寧徳時代) は、2026年に次世代の「8系高ニッケル電池(NMC811)」をリリースする計画です。これは、PHEV(プラグインハイブリッド)やREEV(レンジエクステンダー車)のバッテリー容量が 80kWh というBEV並みのサイズに拡大する市場トレンドに対応するものです。
1. 「8系高ニッケル電池(NMC811)」とは
- 構成: 正極材のニッケル、コバルト、マンガンの比率が約 8:1:1。
- 特徴: エネルギー密度が非常に高く、電池の軽量化・小型化が可能。
- 過去の経緯: 数年前にNIOやXPeng等が採用したが、当時の熱管理技術不足により熱暴走(発火リスク)が問題視され、一時市場から敬遠されていた。
2. なぜ今、復活するのか?(REEV/PHEVの大型化)
現在、中国市場では「ガソリン車に近い利便性で、BEV並みの走行距離」を求める声が強く、車載電池が巨大化しています。
- 重量の壁: LFP(リン酸鉄リチウム)電池で大容量を実現しようとすると、車両総重量が 3トン を超える可能性があり、ハンドリングや衝突安全性に悪影響を及ぼす。
- 解決策: 限界に達したシャシー設計において、重量を抑えつつ 80kWh を搭載できる高ニッケル電池が「回避できない選択肢」として再浮上。
3. 主要メーカーの動向(2026年ターゲット)
複数のメーカーが 80kWh級 の大容量電池を搭載した新型モデルを計画しています。
| メーカー | モデル例 | 予測スペック・戦略 |
| Leapmotor(零跑汽車) | Dプラットフォーム(D19等) | 80kWh搭載、純電気走行距離 500kmを目指す。 |
| Xiaomi Auto(小米汽車) | 新型REEV | 80kWhに近い容量を検討中。 |
| IM Motors(智己汽車) | LS6(既発売) | 現状でも 66kWh / 450km走行(CATL製)を実現。 |
| GWM(長城汽車) | 新型PHEV | 80kWhパック、純電気走行 400km超を計画。 |
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CATLの狙い:三元系シェアの奪還
現在、電池市場は安価なLFP電池が主流ですが、CATLはハイエンド市場を維持するために「三元系(NMC)」の優位性を証明する必要があります。
- 技術ラベル: 「高ニッケル=高度な技術力」というブランドイメージを確立し、競合他社と差別化する。
- 熱管理の進化: かつての失敗を繰り返さないよう、アップグレードされた冷却システムとサイクル寿命の延長技術がセットで導入される見込み。
残る課題と不確実性
- コスト: 高価なコバルトを減らしても、製造・研究開発コストが高止まりしており、量産による「規模の経済」が働くまでは高価格帯が続く。
- 市場の受容性: 過去の熱暴走の記憶がある中で、自動車メーカーや消費者が再び高ニッケルを全面的に信頼するかは不透明。
用語・単位解説
- REEV (Range Extender EV): エンジンを発電専用として搭載する電気自動車。
- NMC811: ニッケル(8)、コバルト(1)、マンガン(1)の比率。
- kWh (kilowatt-hour): 電池容量の単位。
- CLTC: 中国標準の走行サイクル試験モード。
- 3トン: 車両総重量の目安(LFP大容量化による限界点)。


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