BEV技術の進化がレンジエクステンダーを「過去」にする

Battery用途

かつて航続距離への不安(レンジ・アンキシャリティ)を解消する「最適解」として爆発的に普及したレンジエクステンダー式電気自動車(REEV)が、大きな転換点を迎えています。2025年後半、中国市場ではREEVの販売が5か月連続で減少する一方、技術革新を背景とした純電気自動車(BEV)への回帰が鮮明になっています。


1. 統計が示す「主役交代」の兆し

中国乗用車協会のデータによると、2025年11月のREEV国内販売は前年同月比4.3%減となりました。これは過去数年の爆発的成長(2021年の218%増など)とは対照的な結果です。

  • 販売比率の激変: 新興メーカーにおけるBEVとREEVの販売比率は、わずか1年で「57:43」から「73:27」へと、BEV圧倒の構図に変化しました。
  • 先駆者の苦境: REEVブームを牽引してきたLi Auto(理想汽車)も、10月の出荷台数が38.2%減と大幅な落ち込みを見せています。

2. REEVを追い詰める「3つの要因」

A. バッテリー技術の向上と超急速充電

かつてREEVが選ばれた最大の理由は「出先での電欠」への恐怖でした。しかし、現在では以下の進化がその懸念を払拭しています。

  • 航続距離: 主流モデルで600km以上、ハイエンドでは700km以上が標準化。
  • 充電速度: わずか10分で400km分の走行距離を回復できる超急速充電技術が普及しました。

B. インフラ整備の加速

中国国内の充電スタンド数は2025年11月末時点で1,932万台(前年比52%増)を突破。「BEV 5台につきスタンド2台」という世界最高水準の密度に達しており、燃料補給のためにエンジンを積む必要性が薄れています。

C. コストメリットの逆転

リチウム価格の暴落(1トンあたり60万人民元から7万〜8万人民元へ下落)により、大容量バッテリーを積むBEVの製造コストが激減しました。今やBEVの販売価格はREEVやプラグインハイブリッド(PHEV)と同等、あるいはそれ以下になっています。

3. 関連情報:BEVが持つ「構造的優位性」

NIO(蔚来汽車)のウィリアム・リーCEOが指摘するように、BEVには「エンジンを積まない」ことによる物理的な利点が多くあります。

  • 軽量化: エンジン、燃料タンク、排気系が不要なため車体が軽く、電費(エネルギー効率)が良い。
  • 安全性と操縦性: 重いエンジンがないことで設計の自由度が増し、低重心化による走行安定性や衝突安全性能の向上が図りやすい。
  • メンテナンスの簡素化: 複雑な内燃機関を持たないため、オイル交換などの定期点検項目が激減し、維持費が安く済む。

REEV vs BEV:2025年末時点の比較

項目REEV (レンジエクステンダー)BEV (純電気自動車)
主要動力電気モーター電気モーター
バックアップ内燃エンジン (発電用)なし
重量重い (エンジン+電池)軽い (電池のみ)
メンテナンス複雑 (電気系+エンジン系)単純 (電気系のみ)
航続距離不安ほぼゼロ急速充電網により解消傾向
環境性能走行中に排出ガスありゼロエミッション

今後の展望:固体電池が「とどめ」を刺すか

業界関係者は、現在開発が加速している固体電池が実用化されれば、1,000kmを超える航続距離が当たり前になり、REEVの存在意義は完全に失われる可能性があると見ています。

ただし、充電インフラの整備が遅れている地方農村部や、燃料補給の確実性が求められる海外輸出市場(特にインフラ未整備国)においては、REEVは依然として重要な戦略的選択肢であり続けるという見方もあります。

出典:https://www.chinadaily.com.cn/a/202512/29/WS6951db31a310d6866eb30e66.html

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