世界最大の電池メーカー、CATLは、2026年をナトリウムイオン電池(SIB)が複数の主要分野で大規模に採用される「商用化の元年」になると予測しています。リチウム価格の再高騰を背景に、安価で安定した次世代電池へのシフトが加速しています。
1. 2026年の普及に向けたロードマップ
CATLは、福建省寧徳市で開催されたサプライヤー会議にて、2026年に以下の4つの主要分野でナトリウム電池を大量投入する計画を明らかにしました。
- 乗用車・商用車: EV(電気自動車)およびトラックへの搭載。
- エネルギー貯蔵システム(ESS): 再生可能エネルギーの貯蔵用途。
- バッテリー交換サービス: 短距離・頻繁な交換が求められる分野。
CATLは、リチウム電池とナトリウム電池が互いに補完し合う「デュアルスター(双星)」トレンドが今後の主流になると述べています。
2. 背景:リチウム価格の急騰とコスト圧力
今回の発表は、電池の主要原料である炭酸リチウムの価格高騰と連動しています。
- 価格推移: 中国市場の電池級炭酸リチウム価格は、過去3ヶ月で50%以上上昇し、1トンあたり11万人民元(約1万5700ドル)を突破しました。
- サプライチェーンの混乱: 原材料費の高騰を価格転嫁できない一部のLFP(リン酸鉄リチウム)電池メーカーは、採算悪化により生産停止に追い込まれるなどの影響が出ています。
3. 関連情報:CATLの新ブランド「Naxtra」の正体
CATLは2025年4月にナトリウム電池の新ブランド「Naxtra」を発表しており、そのスペックは従来のリチウム電池に迫る勢いです。
- 世界最高のエネルギー密度: 175Wh/kgを達成。これは同等のLFP電池に匹敵する数値です。
- 極寒に強い: マイナス40度からプラス70度の広範な温度域で作動。マイナス40度でも90%の出力を維持できるため、寒冷地でのEV性能低下問題を根本から解決する期待がかかっています。
- 航続距離と寿命: 純EVで最大500キロメートルの航続距離を実現し、サイクル寿命は1万回を超えます。
- 初の国家規格合格: 2025年9月、CATLのナトリウム電池は中国の新しいバッテリー安全国家規格に世界で初めて合格しました。
ナトリウムイオン電池のメリット・デメリット比較
| 特徴 | ナトリウムイオン電池 (Na-ion) | リチウムイオン電池 (Li-ion/LFP) |
| 資源量 | 豊富(塩などから採取可能) | 希少(特定の地域に偏在) |
| コスト | 非常に安い(リチウムの1/80) | 高い(価格変動が激しい) |
| 安全性 | 高い(熱暴走しにくい、0V放電可) | 比較的低い(発火リスクあり) |
| 低温性能 | 極めて優秀(寒冷地でも劣化小) | 低い(冬場に航続距離が落ちる) |
| エネルギー密度 | 低め(重くなりやすい) | 高い(小型・軽量化に有利) |
今後の展望:リチウム価格に左右されない「エネルギーの自由」
ナトリウム電池は、リチウム価格が安かった時期には注目が薄れていましたが、今回の価格再高騰によって再び主役に躍り出ました。CATLはこれを「資源の独占から解放される『エネルギーの自由』への一歩」と位置づけています。
2026年以降、安価な小型EVや定置型蓄電池の分野から、私たちの生活にナトリウム電池が浸透していくことになりそうです。


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