2026年1月10日、CATLはサウジアラビアのリヤドに、中国国外では最大規模となる「NING SERVICEエクスペリエンスセンター」をオープンしました。7,000平方メートルを超えるこの施設は、単なる修理工場ではなく、中東全域の「新エネルギー・エコシステム」のハブとして機能します。
1. 施設の主要機能とサービス
このセンターは、バッテリーのライフサイクル全体をカバーする包括的なサポートを提供します。
- フルサイクル・サービス: 診断、修理、メンテナンスから、リサイクルやアフターマーケット物流まで一貫して対応。
- 広範な対象製品: 乗用車、商用車、および固定型エネルギー貯蔵システム(ESS)を含む7つの主要カテゴリーを網羅。
- 人材育成: 専門のトレーニング施設を備え、現地の技術者を育成。CATLは世界で既に9,700人以上の専門家を認定しており、そのノウハウを中東へ移植します。
2. 💡 関連情報:なぜ今、サウジアラビアなのか?
このプロジェクトが単なる「拠点開設」以上の意味を持つ背景には、中東の急激なエネルギー転換があります。
① サウジアラビア「ビジョン2030」との合致
サウジアラビアは石油依存からの脱却を掲げ、強力な電化目標を推進しています。
- リヤドのEV化: 2030年までにリヤドの全車両の30%を電気自動車(EV)に転換し、排出量を50%削減する計画です。
- 自国生産の加速: サウジ初の国産EVブランド「Ceer(シアー)」の立ち上げや、米Lucid Motorsの工場誘致など、ハードウェアの整備が進んでおり、CATLの施設はその「維持・管理」を担う不可欠なインフラとなります。
② 急成長する「蓄電池(BESS)」市場
中東は現在、世界で最も急成長しているエネルギー貯蔵市場の一つです。
- 市場予測: 中東全体で2026年までに33.5GWhの蓄電池容量が導入されると予測されており、世界第3位の市場になる見通しです。
- 過酷な環境への対応: 50℃を超える極端な高温環境下でのバッテリー運用には高度な技術サポートが必要であり、CATLの現地拠点はその信頼性を担保する鍵となります。
③ 中国・中東間の経済連携の象徴
この施設は、中国の「一帯一路」政策とサウジの「ビジョン2030」が合流する象徴的なプロジェクトです。単なる製品販売から、インフラや教育を含む「深いつながり(ローカリゼーション)」へと移行しています。
3. まとめ:今後の展望
| 影響範囲 | 詳細 |
| ユーザー側 | 修理待ち時間の短縮、メンテナンスコストの削減、資産価値の維持。 |
| 現地経済 | 高度な技術職の雇用創出と、新エネルギー分野の知識移転。 |
| CATLの戦略 | 「売って終わり」ではないサービス網の構築により、競合他社に対する圧倒的な優位性を確立。 |
今回のリヤドセンター開設により、CATLは中東における「エネルギー転換のインフラストラクチャー」としての地位を固めました。これは、他の中東諸国(UAEやカタールなど)への展開を加速させる強力な足がかりとなります。


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