熱暴走を瞬時に抑制:ステランティスが開発したEV用セルフ消火技術の全貌

Battery技術

自動車大手ステランティス(クライスラー、ダッジ、ジープ、ラム等の親会社)は、電気自動車(EV)の安全性を飛躍的に高める「バッテリー熱暴走抑制システム」の特許を取得しました(米国特許商標庁 USPTOより2025年12月4日付与)。

1. システムの画期的な仕組み

従来のEV火災は、一度火がつくと数千ガロンもの水を必要とし、消火が極めて困難でした。ステランティスの新システムは、火災が広がる前に**「バッテリーパックの内部から自動で消火」**する設計です。

  • 自動検知: センサーが異常な温度上昇(熱暴走の予兆)を検知すると、緊急モードが作動します。
  • ブレードによる穿刺: システム内の鋭利なブレードが「難燃剤の袋(ブラダー)」と「冷却ライン」を同時に突き刺します。
  • 特殊フォームの生成: 放出された難燃剤と既存の冷却液(水・グリコール)が混ざり合い、化学反応によって強力な消火フォームが生成されます。
  • 全方位の抑制: この泡がセルを包み込むことで、熱を吸収し、可燃性ガスの発火を防ぎ、隣接するセルへの延焼を食い止めます。

2. 対象となる車両ブランド

この技術は、ステランティス傘下の次世代EVおよびREEV(航続距離延長型電気自動車)への搭載が期待されています。

  • 該当ブランド: クライスラー、ダッジ、ジープ、ラム、フィアットなど。
  • 想定車種: ダッジ チャージャー デイトナ EV、ジープ リコン EV、ラム ピックアップ等。

💡 関連情報の補足(背景と市場への影響)

  • 熱暴走(Thermal Runaway)とは: リチウムイオン電池が損傷や短絡によって異常発熱し、その熱が隣のセルに次々と連鎖して火災や爆発を引き起こす現象です。EVの普及において最大の懸念事項の一つとされています。
  • Mopar(モパー): 元々はクライスラーのパーツ・サービス部門の名称ですが、現在はステランティスのEVカスタマイズや高性能パーツ、アフターサービスの代名詞として使われています。
  • 垂直統合と安全技術: ステランティスは「STLA」と呼ばれる大規模なEV専用プラットフォームを展開しています。この共通基盤に今回の特許技術を組み込むことで、複数のブランドで一括して安全基準を底上げする狙いがあります。
  • 市場へのインパクト: EVの安全性に対する消費者の不安を解消する強力なセールスポイントになります。また、物理的な防護壁(重いシールド)を減らしてこの自動消火システムに頼ることができれば、車両の軽量化と航続距離の向上にもつながる可能性があります。

出典:https://moparinsiders.com/stellantis-patents-new-ev-battery-thermal-runaway-foam-suppression-system/

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