米国ラスベガスで開催されたCES 2026(2026年1月8日)にて、E-magy BVとTulip Techは、高容量リチウムイオンセルの共同開発に関する覚書(MOU)を締結しました。
プロジェクトの主目的
- シリコンアノードの採用: 従来のグラファイトをE-magy独自の「ナノポーラスシリコン」に置き換え。
- ターゲット: 高性能ドローン(UAV)および航空モビリティ。
- 欧州自立: 設計から製造までを欧州(オランダ等)で行い、EUの技術主権と競争力を強化。
核心技術:なぜ「シリコンアノード」なのか?
現在、リチウムイオン電池の負極(アノード)には主にグラファイトが使われていますが、シリコンは理論上、グラファイトの約10倍の充放電容量を持っています。
E-magyの技術的強み
- ナノポーラス構造: シリコンの最大の課題である「充放電時の膨張(割れ)」を、ナノレベルの多孔質構造によって制御。
- エネルギー密度の向上: 従来のセルと比較して、エネルギー密度を最大40%向上。
- 高速充電: 充電速度を最大3倍に短縮。
- 高純度シリコン: 重量比80%以上のシリコン負極(第3世代)を実現。
パートナーシップの役割分担と背景
| 企業名 | 役割・特徴 | 拠点 |
| E-magy | 先端材料メーカー。特許取得済みのシリコン負極材を提供。 | オランダ |
| Tulip Tech | バッテリーパックおよびパワーエレクトロニクスの専門家。軽量・安全設計。 | オランダ(デン・ボッシュ) |
関連補足:ドローン市場への影響
ドローンにおいて「重量エネルギー密度」は、飛行時間と積載量に直結する死活問題です。今回の提携により、以下のようなメリットが期待されます。
- 飛行時間の延長: 同一重量のバッテリーで、より長いミッションが可能。
- 機体の軽量化: 必要なエネルギーを維持しつつ、バッテリーの小型化が可能。
- 供給網の安全性: アジア圏に依存せず、欧州域内で完結する製造サイクル。
まとめと今後の展望
今回の覚書は、単なる研究開発にとどまらず、商業的導入に向けた足がかりとしての側面が強いものです。
両社は今後、欧州のセルメーカーとも協力し、プロトタイプセルの設計・検証を進めます。これが成功すれば、ドローンだけでなく、空飛ぶクルマ(eVTOL)やコンシューマーエレクトロニクス市場においても、シリコンアノード技術の普及が加速するでしょう。
CEOコメントの要旨:
「航空モビリティの新時代を切り拓く(E-magy ピーテルスCEO)」
「高度なUAVシステムの厳しい要求に応え、市場競争力を高める(Tulip Tech リートベルグCEO)」


コメント