米リチウム生産が倍増へ、ライラック社とトラクシス社が10年間の独占オフテイク契約を締結

サプライチェーン

次世代リチウム抽出技術のリーダーであるライラック・ソリューションズ(Lilac Solutions)は、世界的な資源商社トラクシス(Traxys)との間で、ユタ州グレートソルトレイク・プロジェクトから生産されるリチウムの100%を供給する10年間の拘束力のあるオフテイク契約を締結した。

この合意により、フェーズ1で計画されている年間5,000トンの炭酸リチウムの販路が完全に確保されたことになる。これは現在の米国内生産量をほぼ倍増させる規模であり、中国依存が続くバッテリーサプライチェーンにおいて、米国産リチウムの商業化に向けた極めて重要なマイルストーンとなる。


1. 契約の主要条件

今回の契約は、プロジェクトの銀行融資適格性を高める強力な内容となっています。

  • 契約期間: 10年間(長期的な安定供給を保証)
  • 引取数量: 累計5万トン(フェーズ1生産量の100%)
  • 契約形態: テイク・オア・ペイ方式(トラクシスが全量引き取り、または支払いを保証)
  • 価格設定: 市場指数連動型(透明性の高い価格メカニズム)

2. プロジェクトの技術的・戦略的意義

ライラック社は、従来の生産方式では困難だった低品位の資源を、独自の技術で価値に変えています。

  • 革新的抽出技術: 第5世代イオン交換技術(DLE)を採用。
  • 高い回収率: わずか69mg/Lという超低品位の塩水から87%のリチウム回収に成功。
  • 環境への配慮: 抽出後の塩水を湖に戻す非消費型プロセスにより、グレートソルトレイクの水位に影響を与えない持続可能な操業を実現。
  • 国内製造への貢献: 抽出に使用する「イオン交換媒体」はネバダ州の自社工場で製造され、純国産のサプライチェーンを構築。

3. 市場へのインパクトと今後の展望

この提携は、単なる一企業の商談を超え、北米のEV産業全体に影響を与えます。

米国内生産能力の拡大

段階計画生産能力(LCE)国内市場への影響
フェーズ1年間 5,000トン米国の現生産量を約2倍に拡大
フェーズ2年間 20,000トン米国の現生産量を約4倍に拡大

商業化への最終ステップ

ライラック社はすでに詳細設計(FEL-3)を完了しており、現在は州当局と建設・運用許可の最終調整に入っています。今回の「全量買い取り契約」が決定打となり、最終投資決定(FID)を経て、速やかに建設フェーズへと移行する見通しです。


💡 専門解説:なぜ「トラクシス」との提携が重要か

トラクシスは、単なる仲介業者ではなく、物流・金融・市場分析を統合した「サプライチェーンのハブ」です。スタートアップであるライラック社にとって、世界トップクラスの現物トレーダーであるトラクシスの裏付けを得たことは、「技術の信頼性」と「事業の収益性」の両方に世界的なお墨付きがついたことを意味します。

出典:https://www.businesswire.com/news/home/20260112372352/en/Lilac-and-Traxys-Announce-Binding-10-Year-Offtake-Agreement-for-Great-Salt-Lake-Lithium-Production

コメント

タイトルとURLをコピーしました