カナダのテクノロジー企業であるHPQ Silicon Inc.(以下、HPQ)は2026年1月8日、同社の次世代リチウムイオン電池「HPQ ENDURA+」シリーズが、米国市場での販売に不可欠な安全規格であるUL 1642認証を取得したと発表しました。
1. 認証の意義と対象製品
UL 1642は、リチウムイオン電池のセルレベルでの安全性を保証する世界的に認められた規格です。今回の取得により、HPQは北米のOEM(自社ブランド製造)メーカーやシステムインテグレーターに対し、規制上の懸念なしに製品を供給できるようになりました。
- 対象モデルと容量:
- 18650セル: 容量 4,000 mAh
- 21700セル: 容量 6,000 mAh
- 規制の完了: 2025年12月に取得済みの輸送安全規格 UN 38.3 と合わせ、米国市場参入に必要な主要規制をすべてクリアしました。
2. UL 1642で検証された安全性
本認証では、過酷な使用環境や故障シナリオを想定した厳格なテストが行われ、以下の項目で基準を満たしていることが証明されました。
- 電気的試験: 短絡(ショート)保護、過充電耐性、強制放電耐性。
- 機械的試験: 衝撃、振動、圧縮条件下での構造的堅牢性。
- 熱試験: 高温環境下での熱安定性および熱制御能力。
3. HPQ ENDURA+の技術的背景と化学構成
HPQ ENDURA+は、HPQの研究開発パートナーであるNovacium社と共に開発されました。従来のグラファイト(黒鉛)アノードにシリコンを組み合わせることで、高容量化を実現しています。
セルを構成する主な化学物質
- 正極材(Cathode): 高エネルギー密度の三元系材料(NMCなど) 例:LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2 (NCM811)
- 負極材(Anode): 次世代シリコンベース材料 Si/C (シリコン/炭素複合体) (シリコンを用いることで、従来のグラファイト C 単体よりも高い理論容量を確保)
4. 今後の展望
HPQは、今回の認証取得を機に「技術検証フェーズ」から「商用実行フェーズ」へと移行します。
- ターゲット市場: モビリティ(電動自転車等)、ポータブル電子機器、業務用機器、組み込みシステム。
- ビジネスモデル: 北米での強固なサプライチェーン構築を目指し、既存のシステムへのドロップイン(代替導入)が可能な適合製品として交渉を加速させます。


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