中国のBYD(比亜迪)は、住宅用エネルギー貯蔵システム(ESS)の「Battery-Box」シリーズにおいて、累計設置台数が150万台を超えたと発表しました。2024年6月からのわずか18ヶ月で50万台を上積みしており、普及が急加速しています。
1. 驚異的な普及スピードと市場背景
BYDは、この10年で分散型エネルギー貯蔵のリーダーとしての地位を確立しました。
- 急成長の軌跡: * 2024年6月:100万台達成(ドイツでの発表)
- 2025年12月:150万台達成(わずか1.5年で50%増)
- 主な市場: 詳細な内訳は非公開ですが、BYDは特に欧州(ドイツ等)で約30%のシェアを誇り、アジア太平洋地域でもトップクラスの地位にあります。
- 戦略の転換: 単なるバッテリー供給会社から、インバーター、管理アプリ、クラウドを統合した「フルリンク・グリーンエネルギー・ソリューション」を提供するパートナーへの進化を鮮明にしています。
2. 2025年モデルの技術的進化
2025年のラインナップ強化では、EV分野で培った「ブレードバッテリー」技術が家庭用にも本格導入されました。
| 製品名 | 主な特徴・スペック |
| Battery-Box HVB | 家庭用として初めてブレードバッテリーを採用。重量エネルギー密度 108.8 Wh/kg、体積エネルギー密度 162.88 Wh/Lを実現。 |
| Battery-Box HVE | 住宅向けの初の一体型ストレージ。4.29kWhと6.43kWhのモジュールを選択可能。 |
| Power-Box | 自社ブランドのインバーターとバッテリーのセット製品(バンドル)。設置の手間を省き、システム全体での最適化を図る。 |
3. 【関連情報の補足】BYDの強みの源泉
なぜBYDの家庭用蓄電池がこれほど選ばれているのか、背景にある3つの強みです。
- 「ブレードバッテリー」の安全性: リン酸鉄リチウム(LFP)を採用し、刀(ブレード)のように薄い形状で敷き詰める独自構造。釘を刺しても発火しない高い安全性が、室内外に設置する家庭用蓄電池として信頼感を生んでいます。
- 車載グレードの転用: 世界トップクラスのEVメーカーである強みを活かし、車載用と同じ高水準のセル技術をESSに転用。量産効果による圧倒的なコスト競争力を実現しています。
- V2H(Vehicle to Home)との親和性: BYDのEV所有者にとって、自宅の蓄電池(Battery-Box)と車をシームレスに連携させ、電力を融通し合う「V2Hソリューション」が強力な購入動機となっています。
【総括】
BYDは「車(EV)」だけでなく「家(ESS)」の電力網も支配しつつあります。2025年にリリースされたインバーター一体型ソリューション「Power-Box」は、これまで他社製インバーターに依存していた部分を自社で取り込むものであり、収益率の向上とユーザー囲い込みをさらに加速させるでしょう。


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