硬化温度を20℃低下。デュポンの新技術がEV製造工程の省エネと安全性向上を両立

Battery技術

デュポンのグローバル・テクノロジー・ディレクター、アンドレアス・ルッツ博士率いるチームは、急速に進化するEVバッテリー設計の課題に対し、熱伝導性と構造強度を高い次元で両立させた次世代接着剤システムを提示しました。

1. フォルクスワーゲン(VW)との共同開発:BETAMATE 2090

VWの電動化戦略を支える「MEBプラットフォーム」において、バッテリーパックのフレーム構造にデュポンのBETAMATE 2090 構造用接着剤が採用されました。

  • 課題の解決: 機械的な接合(ネジ止め等)では不連続だった接合線を、接着剤による「連続的な接合」に変えることで、パック全体の剛性と衝突時の安全性能を劇的に向上。
  • プロセスの簡素化: プライマーレス技術により表面前処理を不要とし、オーブン加熱なしで硬化する特性を持つため、製造ラインの設備投資と時間を削減。
  • メンテナンス性: バッテリーの修理時にも同一の材料を使用できる利便性を備えています。

2. 「第3世代」接着剤への進化

研究開発ディレクターのタイラー・オービル博士によれば、バッテリー用接着剤は以下の3段階へ進化しています。

  • 第1世代: 熱伝導性(ヒートマネジメント)が主目的。
  • 第2世代: 熱伝導性に加え、一定の機械的強度が融合。
  • 第3世代(現在): 「機械的性能の最大化」。熱管理機能を犠牲にすることなく、衝突からバッテリーを守るための極めて高い構造強度を実現。

3. 省エネに貢献する「ブロードベーク技術」

新開発の「ブロードベーク(Broad-bake)接着剤技術」は、カーボンニュートラルを目指す自動車メーカーにとって強力な武器となります。

  • 低温硬化: 従来の標準より**20℃低い温度(140℃)**で硬化が可能。
  • エネルギー節約: 塗装オーブンの温度設定を下げられるため、工場全体のエネルギー消費を抑制。
  • 品質の均一化: 熱容量が大きい複雑な構造部(コールドスポット)でも確実に硬化し、車両の全寿命期間にわたって高い耐久性を維持します。

4. 関連情報:接着剤がEVの「航続距離」を延ばす理由

「接着剤」と「航続距離」は一見無関係に見えますが、以下の相乗効果があります。

  • 軽量化: ボルトやナットなどの金属締結部品を接着剤に置き換えることで、バッテリーパックを軽量化できる。
  • 高密度化: セル間を接着剤で固定し、隙間の熱を効率よく逃がすことで、より多くのセルを詰め込める(セル・トゥ・パック技術への貢献)。

出典:https://www.batterytechonline.com/battery-manufacturing/dupont-advances-ev-battery-adhesives-for-thermal-management-and-structural-integrity-at-michigan-center

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