ホンダとPNE(Princeton New Energy)は、リチウムイオン電池の「クローズドループ(循環型)」サプライチェーンの構築を目指し、戦略的パートナーシップを強化する覚書(MOU)を締結しました。
1. 提携の背景とこれまでの歩み
- 2022年〜: 両社はPNE独自の「プラズマを用いたダイレクトリサイクル技術」の技術検証を開始。
- 実績: 製造工程のスクラップや使用済み電池から、新品(バージン材)と同等の性能を持つNMC(ニッケル・マンガン・コバルト)正極活物質の再生に成功しています。
2. 核心技術:ダイレクトリサイクル(Cathode-to-Cathode)
PNEの技術は、従来の手法(シュレッダーで粉砕して化学処理するハイドロ法など)とは一線を画します。
- 低コスト・低エネルギー: 高温のプラズマを利用し、材料の結晶構造を維持したまま不純物を取り除き再生(アップサイクル)します。
- 環境負荷の低減: 従来のプロセスに比べ、CO2排出量や水の使用量を大幅に削減可能です。
3. 今後の狙い
- ホンダ: 2050年のカーボンニュートラル実現に向け、北米での電池材料の安定確保と資源循環を加速させます。
- PNE: ホンダとの協業により、商用規模での生産拡大を狙います。また、米国内での重要鉱物の自給率向上に貢献します。
関連・補足情報:電池リサイクルの重要性とホンダの戦略
この提携は、単なる環境保護活動ではなく、自動車メーカーとしての生存戦略に深く関わっています。
1. 「ダイレクトリサイクル」が注目される理由
通常のリサイクルでは、一度電池を溶解して金属成分(リチウムやコバルト)を取り出しますが、これには膨大なエネルギーが必要です。PNEの「ダイレクトリサイクル」は、正極材の構造を壊さずにリフレッシュするため、最も効率的でコストパフォーマンスが高い次世代技術として期待されています。
2. 米国IRA法(インフレ抑制法)への対応
米国で販売されるEVが税額控除を受けるには、電池材料の一定割合を米国または自由貿易協定(FTA)締結国で調達・加工する必要があります。
- 戦略的意義: PNEのような米国拠点のリサイクル企業と組むことで、ホンダは北米産の「再生材料」を確保でき、規制への適合とコスト低減を同時に達成できます。
3. ホンダの「トリプルゼロ」目標
ホンダは「環境負荷ゼロ」を目指す中で、以下の3本柱を掲げています。
- カーボンニュートラル
- クリーンエネルギー
- リソースサーキュレーション(資源循環) 今回のPNEとの連携は、この3つ目の「資源循環」を具現化する重要なステップです。


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