英国のバッテリー技術企業Anaphite(アナファイト)が開発したバッテリー電極製造用のドライコーティング技術プラットフォームが、従来の製造プロセスと比較して二酸化炭素排出量を大幅に削減できることが、独立したサステナビリティ評価(ライフサイクル評価コンサルタント Minviroによる)によって明らかになりました。
📰 記事の主要なポイント
- 技術と評価:
- アナファイトのドライコーティング技術は、従来のウェットコーティングプロセスに代わるもの。
- 独立した分析の結果、セル容量 1kWhあたり 3.57kg 相当の二酸化炭素(CO2)排出量を削減できることが判明。
- 環境へのインパクト:
- 従来のウェットコーティングはエネルギー消費量が多く、コストと炭素排出量が高いという課題がある。
- アナファイトの技術が2025年に製造される全セルに適用された場合、700万トンの CO2 が削減され、これは3億2,000万本の植樹に相当する。
- ドライコーティングは、一般的に従来のプロセスと比較してエネルギー消費量を約30%削減できる。
- 技術的優位性:
- アナファイトの技術は、バッテリー電極の主要成分すべてを単一の人工材料に統合し、高速ドライコーティングライン向けに最適化されている。
- このアプローチが、バッテリーメーカーやEVメーカーが直面していた産業規模でのドライコーティング実現の難しさを解決する鍵となる。
- 今後の展開:
- アナファイトは、英国施設の技術プラットフォームを拡大することで、ドライコーティングの市場投入を支援しており、世界の自動車業界と協力している。
🔗 関連情報・背景
- ウェットコーティングとドライコーティングの違い:
- ウェットコーティング(従来法): 電極材料(活物質、導電材、結着剤など)を有機溶媒(NMPなど)に溶かしてスラリーを作り、それを集電体に塗布した後、高温の乾燥工程で溶媒を蒸発させて除去する必要があります。この乾燥工程が、時間、エネルギー、コスト、CO2 排出量の主要因となっています。
- ドライコーティング(乾式電極): 活物質などの粉体を溶媒を使わずに結着剤(ポリマー)と混合し、圧力や熱を用いてフィルム状に成形してから集電体に圧着します。これにより、乾燥工程が不要または大幅に短縮され、製造プロセスの大幅な簡素化と省エネが可能になります。
- 業界の動向:
- バッテリーコストと環境負荷の低減は、EV普及の鍵であり、主要なバッテリーメーカーやEVメーカー(特にテスラなど)は、ドライコーティング技術の開発と実用化に注力しています。
- アナファイトのような技術スタートアップが、独自の材料科学やプロセス技術で、大規模な産業化の課題を解決するソリューションを提供することで、業界全体の変革を加速させています。
- ライフサイクル評価(LCA)の重要性:
- Minviroが実施したLCAは、バッテリー製造プロセスの環境負荷を客観的に数値化するものであり、バッテリーメーカーや自動車メーカーがサステナビリティ目標(例:欧州のバッテリー規則など)を達成するための技術選定において、非常に重要な判断基準となります。


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