米中分断が呼ぶ韓国の構造的チャンス:LG・サムスン・SKが挑むLFP電池の逆転劇

Battery主要部材

トランプ政権下でのPFE(外国禁止事業体)規制や、米国自動車大手によるサプライチェーン再編により、韓国のバッテリーおよび電子部品メーカーが「中国に代わる唯一の現実的な選択肢」として浮上しています。

1. 米国自動車大手の「脱中国」戦略

テスラとGMは、北米市場向け車両において、地政学的リスク回避と税制優遇(IRA等)の受給を目的とした供給網の切り離しを急いでいます。

  • GMの強気な目標: * 2027年までに米国向け生産から中国製部品を完全に排除する目標を設定。
    • サプライヤー数千社に対し、中国以外の調達先(メキシコ、ベトナム、インド、韓国等)への切り替えを要求。
  • テスラの段階的廃止: * 2025年現在、主要コンポーネントの非中国化を進行中。
    • 1〜2年以内(2026年〜2027年)に、北米生産車両から中国産部品を完全に排除する計画。

2. 韓国バッテリー3社のLFP戦略

これまで中国が独占していた「安価なLFP電池」市場において、韓国勢が猛追しています。

企業名主要なLFP生産・供給計画
LGエナジーソリューション・ルノーと39GWhの車載LFP供給契約(韓国勢初)。
・アリゾナ工場で2026年からLFP生産開始。
・2027年から韓国国内(忠清北道)でもESS用LFPを開始。
サムスンSDI・インディアナ州(ステランティス合弁)で2026年末までに30GWhのLFP生産能力を確保。
・複数のグローバルOEMと大口契約を交渉中。
SKオン・2026年後半までにジョージア工場でLFP生産開始を目指す。
・韓国国内にESS専用のLFPラインを新設。

3. 電子部品・カメラモジュールの覇権

テスラの自動運転システム(FSD)を支える高性能カメラ分野では、韓国企業が中国企業を完全に圧倒しています。

  • サムスン電機: テスラから最大5兆ウォン規模の契約を獲得。500万画素以上の超高精細「バージョン4.0」モジュールを供給し、テスラ内のシェアを約80%まで引き上げる見込み。
  • LGイノテック: 約1兆ウォンの契約を確保。メキシコ工場を活用し、北米生産のテスラ車へ直接供給。
  • 競争のポイント: 中国製品に対する高関税と、AI処理に必要な「微細加工・パッケージング技術」における韓国の優位性が決定打となっています。

【関連情報の補足】リスクと今後の展望

この動きをより深く理解するための背景情報です。

  • コストの壁: 韓国メーカー自身も認める通り、中国製は韓国製より「2〜3倍安い」のが現状です。脱中国は**「車両価格の上昇」**を招くリスクがあり、韓国企業は製造プロセスの自動化(AI導入)によるコスト削減を急いでいます。
  • 中国の輸出規制: 中国政府も対抗策として、2025年10月よりリチウムイオン電池の材料や製造装置の輸出管理を強化しました。韓国企業は、中国以外の地域(アフリカ、豪州、カナダ等)での鉱山確保が急務となっています。
  • 「脱中国」と「中国維持」の二極化: GMやテスラは「米国向け」では脱中国を進めますが、依然として世界最大のEV市場である「中国国内向け」では中国サプライヤーを使い続けるという、二重のサプライチェーンを運用せざるを得ない状況です。

出典:https://koreajoongangdaily.joins.com/news/2025-12-23/business/industry/Tesla-GMs-efforts-to-decouple-from-China-test-Koreas-supply-chain-readiness/2483686

コメント

タイトルとURLをコピーしました