中国バッテリー大手のイブ・エナジー(Eve Energy)は、広東省恵州市の本社地区において、ナトリウムイオン電池事業本部およびAIロボットセンターの起工式を行いました。リチウム依存からの脱却と、製造プロセスのAI化を同時に進める戦略的なプロジェクトです。
1. プロジェクトの概要と投資規模
この新拠点は、次世代電池の研究開発から量産、さらにはそれを作るための「ロボット」開発までを網羅します。
- 総投資額: 約10億人民元(約1億4,000万ドル)
- 延床面積: 約9万平方メートル
- ナトリウム電池エリア: 研究開発、パイロット生産、量産ライン(年産2GWhを計画)。
- AI・ロボットセンター(金源ロボット): 5万平方メートルを使用。ロボットのR&Dから量産までを担当。
- 立地: 広東省恵州市 イブ・エナジー本社 D地区
2. ナトリウムイオン電池の「新技術」と優位性
イブ・エナジーが今回特に強調しているのは、従来の電池の弱点を克服する革新的な安全性です。
- 不燃・自己分解性: 従来の液体電解質リチウムイオン電池(LIB)に比べ熱安定性が高く、発火リスクが極めて低い「自己分解性・不燃性」製品の開発を推進。
- 低温特性とコスト: ナトリウムは海水等から安価に調達可能(リチウムより約30%安価との試算)。また、-40℃ から+60℃ という広い温度範囲で動作し、極寒地でも性能が落ちにくい。
- 商用化の進展: 2025年9月には、湖北省荊門の拠点で初の大規模ナトリウム電池蓄電システムのグリッド接続に成功。寿命は3万サイクル以上と、驚異的な耐久性を実現しています。
3. 【関連情報の補足】なぜ「電池×ロボット」なのか
今回のプロジェクトがAIロボットセンターを併設している背景には、業界の明確なトレンドがあります。
- 製造の自動化(ヒューマノイドの導入): ライバルのCATLは、すでにバッテリー生産ラインにヒューマノイドロボットを導入。イブ・エナジーも自社でロボットを開発・製造することで、より高度な自動化と品質管理を目指しています。
- 「具現化AI」デバイスへの供給: ロボット自体も高密度なバッテリーを必要とします。イブ・エナジーは2025年、ロボット企業「Vbot」と提携し、屋外で6時間以上稼働可能なロボット専用の高密度バッテリーパックを共同開発しています。
- 市場の勢力図: 2025年11月時点で、イブ・エナジーは中国国内シェア5位(3.84%)、世界シェア9位。上位を走るCATLやBYDに対抗するため、ナトリウム電池という「低価格・安全」な新カテゴリーで差別化を図る狙いがあります。
【総括】
イブ・エナジーのこの投資は、単なる「工場の増設」ではありません。「次世代電池(ナトリウム)」を「AIロボット」で作り、それを「ロボットや蓄電システム」に載せるという、垂直統合型の次世代産業モデルの構築を意味しています。


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