中国政府による新エネルギー車(NEV)購入税優遇措置の減額・撤廃を前に、中国の自動車メーカーが、年末の納車台数を確保するため、世界最大の動力用電池メーカーであるCATLの高性能バッテリーをめぐる争奪戦を繰り広げています。
この動きの背景と、市場の関連情報をまとめます。
💡 バッテリー争奪戦の主要なポイント
- 税制優遇措置の終了が引き金:
- 中国のNEV購入税優遇措置が来年(2026年)に減額・撤廃される予定であり、消費者の駆け込み需要に対応するため、自動車メーカーは2025年第4四半期の納車台数を最大化しようとしています。
- これが、CATLのバッテリー生産能力、特に高性能製品をめぐる「熾烈な競争」を生んでいます。
- 供給ボトルネックは高性能バッテリーに集中:
- 現在の供給不足は、広範なバッテリー不足ではなく、主にCATLの高級ハイニッケルシステム製品に集中しています。
- これらのバッテリーは、30万人民元(約630万円)を超える中高級モデルに搭載されています。(例:Nio ES8、Li Auto Li i8、Xiaomi SU7 Maxなど)
- CATLの供給優先策:
- CATLは現在、自社のバッテリーを独占的に使用し、出荷量が多い自動車メーカーに対して、保証や優遇条件を提供することを優先しています。
- 一部の小規模な第2層バッテリーメーカーのプレミアムバッテリー生産ラインも、稼働率が110%を超えるほどのフル稼働状態にあります。
🔎 関連情報:市場環境とCATLの戦略
1. エネルギー貯蔵(ESS)需要の急増
動力用バッテリーの供給圧迫の背景には、エネルギー貯蔵用バッテリー(ESS)の需要が世界的に急増していることがあります。
- 🌎 ESSの世界的需要: 年央頃から特に南米と中東で需要が爆発的に増加しており、一部の海外受注はすでに2026年第2四半期まで埋まっていると報じられています。
- 🔋 LFPバッテリーの制約: CATLはESS向けにリン酸鉄リチウム(LFP)材料の調達を増やしたため、LFPバッテリーを搭載した人気EVモデルの生産にも短期的な制約が生じています。
2. 中国NEV市場の現状と税制優遇の動向
- 📉 優遇措置の段階的縮小: 中国政府はNEVの普及初期段階を終え、優遇措置を段階的に縮小・撤廃する方向に向かっています。これが、自動車メーカーの駆け込み生産の直接的な原因です。
- 📈 NEV普及率50%超え: 中国国内のNEV普及率は50%を超えており、市場は成熟期に入りつつあります。
- ⚖️ CATLの生産能力拡大への懸念:
- CATLは生産能力を拡大していますが、市場の成長が鈍化した場合、短期的な需要を満たすために生産能力を過度に拡大すると、来年以降に遊休生産能力リスクに直面する可能性があると懸念しています。
3. CATLの市場支配力
- CATLは世界最大の動力用電池メーカーであり、中国市場における市場シェアは、2025年9月時点で設備容量ベースで**42.81%**に達しています。この圧倒的な支配力が、高性能モデルを生産するEVメーカーにとって、CATLへの依存度を高めています。
結論:市場の今後の見通し
NEV購入税優遇措置の終了間際に発生している高性能バッテリーの争奪戦は、中国EV市場が補助金主導の成長から、市場競争ベースの成長へと移行する過渡期にあることを示しています。
自動車メーカーは目先の収益確保に努めていますが、CATLにとっては、短期的な需要増と、中長期的な遊休生産能力リスクのバランスをどう取るかが今後の焦点となります。また、ESS市場の急成長は、バッテリー資源の配分に影響を与え続けていく見込みです。
出典:https://cnevpost.com/2025/11/06/ev-makers-scramble-for-catl-batteries-before-extra-tax-costs/


コメント