ドイツのDuesenfeld(デューゼンフェルド)社は、フォルクスワーゲン(VW)やAscend Elementsといった巨大企業からの異議申し立てを退け、リチウムイオン電池(LIB)リサイクルの根幹技術である「真空乾燥プロセス」の特許有効性を確定させました。
1. 法的勝利の概要:米欧での一連の判決
Duesenfeldは、競合他社や自動車メーカーによる特許無効化の試みを、欧州特許庁(EPO)および米国特許商標庁(USPTO)の両方で阻止しました。
| 管轄地域 | 相手方 | 内容と結果 |
| 欧州 (EPO) | Volkswagen AG | VWが起こした異議申し立てに対し、EPOは特許(EP 3 289 627)の有効性を維持。欧州市場での独占権を確保。 |
| 米国 (USPTO) | Ascend Elements | Duesenfeldが提起した侵害訴訟への反撃(特許審査請求)に対し、USPTOは請求を実質却下。特許の有効性を確認。 |
| 米国 (USPTO) | Ascend & URT | 当事者系レビュー(IPR)による特許無効化の試みも退けられ、主要な請求項の有効性が認められた。 |
2. Duesenfeld技術が「革命的」とされる理由
争点となった「真空乾燥プロセス」は、従来のリサイクル手法(焼却や強酸を用いる手法)とは一線を画す、環境負荷の低いクリーンな技術です。
- 有害物質の抑制: 従来の加熱処理では有毒なフッ化水素が発生しますが、Duesenfeldの低温プロセスではこれを防ぎます。
- 高い回収率: 電解質の溶媒を高純度で回収できるほか、リチウム塩を元の化学形態(LiPF6)のまま維持できるため、再利用が容易です。
- 低炭素: 低温での処理により、エネルギー消費量を大幅に削減し、プラスのCO2収支を実現しています。
3. 【関連情報】背景にある「電池資源争奪戦」
今回の法廷闘争は、単なる知財争いではなく、急成長するリサイクル市場の覇権争いです。
- 市場の急成長: 世界のバッテリーリサイクル市場は2025年に約291億ドル規模に達し、2032年には650億ドルを超えると予測されています(Stratistics MRC調べ)。
- 欧州電池規則の強化: 欧州では2025年以降、リサイクル材料の使用義務化や回収目標の引き上げが段階的に始まります。これにより、効率的かつクリーンに材料を抽出できるDuesenfeldの技術価値が急騰しています。
- 「都市鉱山」としての価値: リチウム、コバルト、ニッケルなどの希少金属を自国で確保する「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」が、経済安全保障の観点からも重要視されています。
【総括】
Duesenfeldの勝利により、同社のライセンスビジネスはさらに加速すると見られます。現在、欧州で3つの大規模プラントを建設中であり、今回の判決は、他社が同様のクリーンリサイクル技術を無断で使用することを防ぐ強力な障壁となります。


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