WeLionは、Nio(蔚来汽車)向けに「半固体電池」を供給していることで知られる中国の有力バッテリーメーカーです。今回、その技術開発において世界を驚かせるマイルストーンを報告しました。
1. 驚異的なエネルギー密度:824Wh/kg
- 現在の実績: 実験室での試験において 824Wh/kg という数値を実証。
- 将来の目標: 長期的に 1000Wh/kg の壁を突破することを目指しています。
- 比較対象:
- 一般的なLFP(リン酸鉄リチウム)電池:150から180Wh/kg。
- 他社の全固体電池開発目標:350から500Wh/kg。
- つまり、WeLionの数値は競合他社の目標値すら大幅に上回る異次元のレベルにあります。
2. 量産化への課題と戦略
- コストの壁: CEOのYu Huigen氏は、硫化物系電解質の原材料価格の高さが最大の障害であると認めています。
- 初期のターゲット: 高価格でも許容され、かつ極めて高い安全性が求められる分野。具体的には**「ヒューマノイドロボット」**などへの導入を想定しています。
- 生産能力と上場計画:
- 現在の年間生産能力(液、半固体)は 28.2GWh。将来的に 100GWh への拡大を計画。
- 2027年までの全固体電池の量産開始を目指し、中国初の「全固体電池純粋企業」としてのIPO(新規株式公開)を検討中です。
【関連情報】WeLionの技術的背景と業界の文脈
WeLionの躍進をより深く理解するための補足情報です。
A. Nio(蔚来汽車)での先行実績
WeLionは、EVメーカーのNioに対し、エネルギー密度 360Wh/kg の150kWh「半固体電池」パックを供給しています。
- この電池を搭載したNioの「ET7」は、一回の充電で 1,000km以上 の走行に成功しており、今回の824Wh/kgという発表は、その実用化実績に裏打ちされた次世代ステップと言えます。
B. 「硫化物系」固体電解質の特性
WeLionが採用を検討している硫化物系電解質は、トヨタ自動車なども注力している方式です。
- メリット: イオン伝導率が極めて高く、急速充電や高出力に向いている。
- デメリット: 大気中の水分と反応して硫化水素を発生させるリスクがあり、高度な封止技術と高価な製造設備が必要。これがコスト高の要因です。
C. なぜ「1,000Wh/kg」が必要なのか
現在のEV用リチウムイオン電池は、重量あたりのエネルギー密度が低いため、大型トラックや航空機を長時間駆動させるには重すぎることが課題です。
- 1,000Wh/kg が実現すれば、電気飛行機(eVTOL)の航続距離が劇的に伸び、物流や交通のあり方を根本から変える「バッテリーの聖杯」となります。
まとめ:WeLionの現在地と展望
| 項目 | 内容・数値 |
| 達成エネルギー密度 | 824Wh/kg (実験室レベル) |
| 最終目標 | 1,000Wh/kg |
| 採用予定の技術 | 硫化物系固体電解質 |
| 量産開始目標 | 2027年 |
| 想定用途 | ヒューマノイドロボット、高価格帯EV、特殊産業 |
WeLionは、既に半固体電池で「実用化」のトラックレコードを持っている点が、他のベンチャー企業に対する強みです。2027年の量産化に向け、高コストな硫化物系材料の課題をどう解決していくかが、今後の焦点となります。


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