この研究は、次世代バッテリー電極の製造における課題を解決する、新しい**乾式プロセス電極(DBE)**技術を提案しています。特に、**ポリ(テトラフルオロエチレン) (PTFE)バインダーを用いた二重繊維乾式電極(DDE)**を開発し、従来の電極を上回る優れた性能と実用的なスケーラビリティを実証しました。
💡 乾式電極が注目される背景
従来の湿式(スラリーベース)電極製造は、有機溶媒の使用とエネルギー集約的な乾燥工程のため、高コストで高エネルギー消費という課題を抱えています。さらに、乾燥時にバインダーが偏在し、電極の均質性が低下することが性能上の問題となります。
乾式プロセスは、溶媒と乾燥工程を不要にすることで、これらの問題に対処できる低コスト・持続可能な技術として注目されています。
🔬 二重繊維乾式電極(DDE)の技術革新
本研究では、多段階の粉砕および混練プロセスを経ることで、均質で機械的に堅牢なDDE構造を製造しました。
1. 独自の二重繊維構造の生成
DDEは、プロセスを最適化することで、PTFEバインダーに2種類の異なる繊維構造を持たせました。
- 細いPTFE繊維(糸状): 電極成分の均一な分散と電子伝導性の向上に貢献します。
- 太いPTFEロープ(ロープ状): 複数のPTFE繊維が絡み合うことで形成され、電極の機械的完全性と構造健全性を大幅に向上させます。
2. DDEの主要な性能(従来の電極との比較)
| 特性 | DDEの優位性 | 実績値 |
| 高面積容量 | 高エネルギー密度化の鍵となる | 10.1 mAh/cm2(安定したサイクル特性を維持) |
| 機械的強度 | ロールツーロール製造適性(エッジ損傷低減) | 引張強度が従来の乾式電極の約3倍。 |
| サイクル安定性 | 長寿命化 | グラファイト負極とのフルセルで、**600サイクル後も80.2%**の容量維持率。 |
3. 実用レベルでのエネルギー密度
1.2 Ah級の積層パウチフルセルでの実証結果:
- リチウム金属負極(Li||DDE):
- 重量エネルギー密度: 349 Wh/kg
- 体積エネルギー密度: 800 Wh/L
- グラファイト負極(Gr||DDE):
- 従来の湿式セルと比較し、積層数削減により重量を23%削減。
- 重量エネルギー密度: 291 Wh/kg
関連情報:高面積容量の重要性
電極の面積容量(mAh/cm2)を高めることは、バッテリーのエネルギー密度を向上させるために不可欠です。DDE技術は、均質な電極構造と強靭な機械的特性を両立させることで、従来の電極では困難であった高面積容量化と長寿命化の両立に成功しました。
結論
二重繊維PTFE構造に基づく乾式電極(DDE)技術は、高エネルギー密度と安定した長寿命を必要とする次世代リチウム電池の製造に、費用対効果が高く、拡張性のあるプラットフォームを提供します。
出典:https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2025/ee/d5ee03240g


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