Fraunhofer IISB、アルミニウム・グラファイト・デュアルイオン電池システムの開発を完了

Battery技術

フラウンホーファー集積システム・デバイス技術研究所(IISB)が主導する共同研究開発プロジェクト「INNOBATT」は、アルミニウム・グラファイト・デュアルイオン電池(AGDIB)をベースとした完全な電池システム実証装置を構築し、テストに成功しました。これは、リチウムフリーの次世代高出力電池が、グリッドアプリケーションに安定性、高速応答性、高いリサイクル性を提供できることを示した画期的な成果です。

💡 AGDIBの主要な技術的特長

  • リチウムフリーとコスト効率:
    • リチウムフリーで、正極にグラファイト、負極にアルミニウムという入手しやすい活物質を使用しています。
    • これにより、費用対効果が高く、資源の制約が少ないエネルギー貯蔵技術となります。
    • 本質的に不燃性で、安全性が高いです。
  • 高出力性能:
    • エネルギー密度160 Wh/kg電力密度9 kW/kgを超えます。
    • 高いCレートでの急速充放電が可能で、高速応答が求められる用途に最適です。
    • 系統に仮想慣性を提供するような、非常に高い充放電レートが要求されるアプリケーションにも適しています。
  • 高い耐久性と効率:
    • 実験室試験用セルでは、100%の放電深度(DoD)で10,000サイクル以上のサイクル寿命を実現しています。
    • クーロン効率はほぼ100%、エネルギー効率は**85%**を超えます。
    • 開発された耐腐食性多層パウチセルは、高い信頼性を示しています。

🛠️ システム構築と実証

INNOBATTプロジェクトでは、AGDIB技術を小型パウチセルにスケールアップした後、以下の要素で構成される完全な電池システムデモンストレーターが構築されました。

  1. AGDIBパウチセルとモジュール: 8個のAGDIBパウチセルが4s2p構成で組み立てられました。
  2. ワイヤレス電池管理システム(BMS):
    • オープンソースの**foxBMS®**プラットフォームをベースとしています。
    • BMSスレーブとマスター間の安全な無線周波数(RF)通信により、配線の複雑さを軽減し、信頼性を向上させています。
  3. 量子センサー:
    • ダイヤモンドのNVセンターをベースとした新型センサーを搭載。
    • 5桁を超える測定範囲を持ち、微小電流から大電流まで、高解像度で動的電流を高精度に捉えることができ、動的なグリッド安定化用途に不可欠な機能を提供します。

📊 実証結果

このシステムは、実周波数データを用いた瞬時予備力アプリケーションをエミュレートし、セルレベルの結果がモジュールレベルで検証されました。

  • 系統安定化のためのAGDIB化学の高出力性能が検証されました。
  • 10°Cでの動的高電流負荷下でも安定した性能を維持し、AGDIBのスケールアップ能力が実証されました。

♻️ 持続可能性とリサイクル性

このシステムは開発の全体を通して持続可能性に重点を置いています。

  • リサイクル性の向上:
    • セルのリサイクル性は、有毒化学物質を使用しない物理的な分離プロセスによって評価され、閉鎖型物質循環の構築を促進します。
    • モジュール設計は「リサイクルを考慮した設計(Design for Recycling)」戦略に基づき、現行のEU規制要件を上回るリサイクル効率**を実現しています。

🌍 関連情報:アルミニウムイオン電池の背景

アルミニウムイオン電池は、リチウムイオン電池に代わる次世代電池の一つとして、近年注目されています。主な利点は、アルミニウムの豊富な埋蔵量低コスト、および高い安全性(不燃性)です。

AGDIBの動作原理は、充電中にグラファイト正極の層間にアニオン(負イオン、この場合はデュアルイオン電池であるため塩化物アニオンなど)が挿入され、放電時に脱離するという、インターカレーション(層間挿入)反応に基づいています。これにより、高出力かつ長寿命を実現します。

AGDIB技術は、特に、頻繁な低エネルギーマイクロサイクル高電力が求められる動的グリッド安定化用の無停電電源装置(USP)や、その他の高性能ストレージデバイスなどの固定式およびハイブリッドモバイルアプリケーションにおいて、大きな可能性を秘めています。

出典:https://www.ess-news.com/2025/12/05/worlds-first-high-power-aluminum-ion-battery-system-for-energy-storage/

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