世界最大のバッテリーメーカーであるCATLと多国籍自動車メーカーのステランティスは、スペイン・サラゴサに巨大なリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリー・ギガファクトリーの建設を開始しました。このプロジェクトは、欧州における電動モビリティの普及と持続可能なサプライチェーンの確立に向けた重要な一歩となります。
📰 プロジェクトのハイライト
| 項目 | 詳細 |
| プロジェクト名 | サラゴサ LFP ギガファクトリー |
| 建設主体 | 合弁会社「Contemporary Star Energy, SL」(CATLとステランティスの50/50出資) |
| 所在地 | スペイン・サラゴサ |
| 投資規模 | 41億ユーロ(約6,600億円*) |
| バッテリー化学 | LFP(リン酸鉄リチウム) |
| 生産能力目標 | 2026年末までに最大50GWhの生産開始を目指す |
| 用途 | 欧州で生産されるステランティス製の高品質なBセグメントおよびCセグメントのBEV(バッテリー式EV)をサポート |
*(注)1ユーロ=約161円で換算(2025年12月時点の一般的な為替レートに基づく概算)
🌍 欧州EVバリューチェーンへの影響と持続可能性
このサラゴサ・ギガファクトリーは、欧州最大級の国内バッテリー製造拠点の一つとなる見込みです。プロジェクトは、経済、技術、環境の多方面にわたる影響を及ぼすように設計されています。
1. 環境と持続可能性
- カーボンニュートラルな設計: 欧州初のカーボンニュートラルなリチウム電池工場を目指して設計されています。
- 再生可能エネルギー: 工場の電力の80%以上を再生可能エネルギーで賄う予定です。
- CO2削減効果: フルスケール稼働時には、車両の生涯を通じて3,000万トン以上のCO2、1億2,500万バレル(約1,700万トン)以上の原油の削減に相当する目標が設定されています。
2. 経済と雇用
- 雇用創出: 4,000人以上の直接雇用と、数千人の間接雇用を創出する見込みです。
- 地域エコシステム: 先進的なバッテリー製造を巡る競争力のある地域エコシステムの促進に繋がると期待されています。
⚙️ 採用される革新技術と製造手法
技術的には、このギガファクトリーはインダストリー4.0規格を適用し、高度な自動化と追跡可能なプロセスを実現します。
- セル・トゥ・ボディ(CTB)統合: セルを車両構造に直接配置する次世代の設計・製造手法を採用し、効率性、パッケージング、安全性を向上させます。
- 高度なモジュール化: 製品設計と製造に高度なモジュール化を導入することで、ステランティスの「STLA Sプラットフォーム」車両へのLFP技術の組み込みと、かつてない柔軟性をもたらします。
Contemporary Star EnergyのCEOであるアンディ・ウー氏は、この事業の野心とスピードを強調し、「戦略的MOUを通じて原材料確保に向けた決定的な措置を講じており、将来に向けたサプライチェーンの強化が期待される」と述べました。
🔗 関連情報:バッテリーサプライチェーンの動向
ギガファクトリーの拡大を背景に、バッテリーの原材料確保は極めて重要です。
- LFP(リン酸鉄リチウム)の戦略的意義: LFPバッテリーは、ニッケルやコバルトを含む三元系(NMC/NCA)バッテリーに比べて安価で安全性が高いという特徴があり、特に手頃な価格帯のEV(Bセグメント、Cセグメント)への採用が増加しています。
- リチウム供給の懸念と再稼働: 以前、CATLのリチウム鉱山閉鎖がサプライチェーンの混乱を引き起こす可能性が示唆されましたが、ブルームバーグの報道によると、CATLは中国の主要リチウム鉱山である建霞鉱山を12月初旬にも再開する予備計画を進めており、原料供給の不確実性を迅速に軽減し、サラゴサ合弁事業の拡大を後押しする可能性があります(ただし、規制当局の承認待ち)。
このサラゴサ・ギガファクトリーは、CATLとステランティスが協力し、欧州における電動化を加速させ、手頃な価格と持続可能性を両立させたEVソリューションを提供する上での基盤となります。


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