先進的なバッテリー材料企業であるVianode(ノルウェー)と、バッテリー技術企業であるC4V(米・ニューヨーク州)は、グリッドバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)向けの高性能合成アノードグラファイトの供給に関する**意向書(LOI)**を締結しました。
この提携は、北米市場における重要なバッテリー材料の地域サプライチェーンの構築と、CO₂排出量の削減を目指すものです。
🤝 提携の概要
| 項目 | 詳細 |
| 主要企業 | Vianode(先進バッテリー材料企業)、C4V(バッテリー技術企業) |
| 対象材料 | 高性能 合成アノードグラファイト |
| 用途 | グリッドバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS) |
| 契約検討 | 2032年までのオフテイク契約 |
| 納入開始予定 | 2026年後半 |
| 供給元(初期) | ノルウェーのVia ONE工場 |
| 供給元(将来) | カナダ・オンタリオ州のVia TWO工場(建設予定) |
💡 提携の背景と戦略的意義
1. 北米におけるBESS需要の急増
北米では、太陽光発電の導入拡大、住宅および企業のレジリエンス(回復力)向上、柔軟な送電網サポートの需要により、エネルギー貯蔵システム向けバッテリー需要が2030年までに倍増すると予想されています。BESSには、特に長寿命で高安定性のバッテリーセルが求められます。
2. 地域サプライチェーンの確立とFEOC問題への対応
現在、リチウムイオン電池に使用される合成グラファイトの95%以上がアジアで生産されており、北米市場は輸入に大きく依存しています。
- この提携は、北米における合成アノードグラファイトのサプライチェーンを確立し、懸念外国企業(FEOC)フリーの高耐衝撃アノードソリューションを提供することで、サプライチェーンの課題に直接対処します。
- C4Vは画期的なコバルト・ニッケルフリー正極技術を持っており、Vianodeの次世代合成グラファイト負極ソリューションと組み合わせることで、持続可能で、地域に根ざしたBESSバリューチェーンを構築します。
3. 環境への貢献
Vianodeの合成アノードグラファイトソリューションは、最大 90% の CO₂ 削減を実現するとともに、長寿命エネルギー貯蔵システムなど、幅広い用途に合わせて性能をカスタマイズできます。
🔎 関連情報の解説
🟢 バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)
BESS(Battery Energy Storage System)は、電力系統に接続され、発電された電気を一時的に貯蔵し、必要な時に放電するシステムです。
- 役割: 再生可能エネルギー(太陽光、風力など)の出力変動を吸収し、電力系統の安定化、周波数調整、ピークシフト、および送電網のレジリエンス(災害時などの電力供給維持)向上に不可欠な技術です。
- 求められる特性: グリッド用途では、充放電サイクルが多いため、特に安全性と**長寿命(高安定性)**が重視されます。
🟢 合成アノードグラファイト
リチウムイオン電池の負極に使われる主要な材料です。
- 天然グラファイトと合成グラファイトの2種類が主に使われますが、合成グラファイトは高い純度と結晶構造の制御が容易で、急速充電性能や長寿命性において優位性を持つことがあります。
- Vianodeのグラファイトは、生産段階でのCO₂排出量を大幅に削減した持続可能な方法で製造されます。
🟢 C4V(Charge CCCV)
C4Vは、バッテリー寿命、安全性、充電性能の向上に貢献するリチウムイオン電池技術企業です。特にコバルト・ニッケルフリーの正極技術(コバルトやニッケルなど資源制約や倫理的な懸念がある材料を使用しない技術)で知られており、地域サプライチェーン構築のためのギガファクトリー提供にも注力しています。
🟢 懸念外国企業(FEOC)フリー
FEOC(Foreign Entity of Concern:懸念外国企業)とは、特定の外国政府と関連があると見なされる企業や組織を指します。特にアメリカの**インフレ削減法(IRA)**において、EVやバッテリー部品に対する税額控除の対象からFEOCが関与する材料を排除する規定があり、北米市場でビジネスを行う上で「FEOCフリー」であることが非常に重要になっています。この提携は、この要件を満たすことを目指しています。
📝 VianodeとC4Vの視点
- Vianode: EV市場に加え、BESSソリューションで商業ポートフォリオを補完・多様化し、クリーンエネルギーへの移行を推進。持続可能な製造プロセスによるグラファイトで、グローバル展開を加速させる。
- C4V: Vianodeのグラファイトと自社の革新的な正極技術を組み合わせることで、安全性、長寿命性、効率性を兼ね備え、FEOCへの依存を排除したBESSバリューチェーンの基盤を構築し、エネルギー貯蔵のあり方を再定義する。
この提携は、VianodeにとってBESS分野における初の契約であり、北米のエネルギー貯蔵市場と地域サプライチェーンの主権強化に向けた大きな一歩となります。


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