中国の自動車大手である上海汽車集団(SAIC)は、全固体電池の開発で大きな進展を発表しました。パートナーである青島パワーとの協力により、2027年の商用量産出荷を目指しています。
- ⚡️ 量産ロードマップ: SAICは、青島パワーの安亭にある全固体電池生産ラインがフル稼働を達成したと発表しました。
- 2025年末: サンプルセルのラインオフ
- 2026年: プロトタイプ車両でのテスト
- 2027年: 商用量産出荷を目標
- 💡 技術目標: SAICが公表しているこの新しい固体電池の技術仕様は以下の通りです。
- 重量エネルギー密度: 400 Wh/kg以上
- 体積エネルギー密度: 820 Wh/L以上
- 単セル容量: 75 Ah以上
- 🛡️ 安全性と性能:
- 安全性: 釘刺し試験や200℃のサーマルチャンバーへの長時間曝露試験に合格し、発火や爆発は発生しませんでした。
- 低温性能: 低温容量保持率が90%を超えると報告されています。
- 🤝 開発体制: SAICは青島パワーに投資し、共同研究所を設立するなど、数年前から固体電池開発に取り組んでおり、実験室段階から実車搭載へのスケールアップを目指しています。
💡 関連情報と全固体電池を巡る競争
全固体電池(Solid-State Batteries: SSB)は、電解質を固体にすることで、従来の液系リチウムイオン電池よりも高いエネルギー密度と優れた安全性を実現すると期待されている次世代技術です。SAICだけでなく、中国内外の主要メーカーが量産化を目指し、熾烈な競争を繰り広げています。
1. 中国国内の競合動向
SAICの発表は、中国のEV市場における次世代電池競争の激化を示しています。
- GAC Group(広州汽車集団): 中国初の大容量(60Ah以上)固体電池生産ラインを構築し、小ロット生産を開始。量産は2027年~2030年を予定。
- Chery(奇瑞汽車): 600 Wh/kgの固体電池モジュールを発表。2026年に試験車両への使用、2027年にはより広範な展開を目指す。
- Sunwoda(欣旺達): 400 Wh/kgのセルを開発中で、航続距離1,000 km、寿命1,200サイクルを目指す。(Li Autoが出資)
- CATL(寧徳時代): 研究開発は継続しているものの、量産固体電池の生産は2030年頃になるとの見通しを示しており、慎重な姿勢を見せている。
2. 量産化への課題とアナリストの見解
サンプル生産や安全試験の成功は重要なマイルストーンですが、アナリストは商業的成功にはまだ課題があるとしています。
- 課題: 長期的な製造可能性、コスト効率、再現性のある量産歩留まりの確保。
- 実証: フリート試験を通じた実世界の耐久性データや、サプライチェーンの準備状況が商業化の鍵となります。
3. 技術的意義
SAICが目標とする400 Wh/kgの重量エネルギー密度は、EVの航続距離を飛躍的に伸ばす可能性を秘めています。これは、現在の高性能液系リチウムイオン電池(一般的に250~300 Wh/kg程度)を大きく上回る水準です。
SAICの2027年量産目標は非常に野心的であり、計画通りに進めば、同社が中国のEV競争において大きなアドバンテージを得ることになります。


コメント