Nio(ニオ)のCEO、ウィリアム・リー(William Li)氏は、長らく開発が遅れていた150kWh準固体電池パックを量産化したものの、顧客からの需要が予想外に低かったため、生産を中止したことを明らかにしました。
この背景には、Nioが中国国内で積極的に展開しているバッテリー交換(Power Swap)ネットワークが成功し、ユーザーがより高価で大容量のバッテリーを選ぶ必要性を感じなくなったという市場の現実があります。
📝 要点のまとめ
1. 150kWhバッテリーの経緯と性能
- 技術・開発: 2021年1月に発表された150kWhの準固体電池パックです。高いエネルギー密度を実現し、バッテリーパック全体の重さは575 kg(100kWh版より20 kg増)です。
- 航続距離実証: 2023年12月、CEO自ら1,044 kmの航続距離を実証しました。
- 量産と停止: 度重なる延期を経て、2024年4月に量産を開始しましたが、その後1年未満で数百個を生産した後に生産を停止しました。
- 生産停止の理由: 価格の高さ(平均的なパックよりも高価)と、需要の不足が主な理由です。
2. 需要不足の真の理由:バッテリー交換ネットワークの成功
- 顧客の反応: 顧客は予想されていたほど、150kWhパックへのアップグレード(レンタル)を利用しませんでした。
- CEOの見解: 需要が低いのは、中国国内のバッテリー交換ネットワークが非常に充実しているため、長距離バッテリーの必要性が薄れたからだと分析しています。
- パック選択の傾向: 交換ステーションの増加に伴い、顧客は小型で安価なバッテリーパックを選ぶ傾向が強まっています。
- 以前は75kWhと100kWhの採用率が50:50でしたが、現在はユーザーの97%が75kWhを選択しています。
- 戦略的価値: リーCEOは、150kWhバッテリーは実際のニーズを満たすというより、「マーケティング目的」としての役割が大きかったと認めています。
3. 欧州市場戦略と今後の焦点
- 欧州導入の断念: 欧州市場(61ステーション運営)への150kWhバッテリーの導入は見送られました。追加のテストや認証コスト、サブスクリプション料金の高さから、「ビジネスおよびユーザー体験の観点から意味がない」と判断されました。
- 今後の焦点: リーCEOは、高価な大容量バッテリーよりも、その予算をより多くの交換ステーションの設置に充てる方が、ユーザーの航続距離の懸念を真に解決できるとの考えを示しています。
🔍 結論と示唆
Nioの150kWh準固体電池の生産中止は、バッテリー交換インフラの充実が、航続距離を追求する大容量バッテリーの優位性を上回ったことを示しています。Nioは、技術的なマイルストーンとしての役割を果たした150kWhバッテリーよりも、実用的なインフラへの投資を優先する、という現実的な戦略に舵を切っています。


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