SKオンは、主要パートナーであるソリッドパワー (Solid Power) との協力体制が功を奏し、次世代全固体電気自動車(EV)バッテリーの商用化計画を大幅に加速しています。ソリッドパワーによる迅速な機器テストの完了見込みにより、SKオンは大田(テジョン)のパイロットラインを年内に稼働させ、量産開始時期を2030年から2029年に前倒しする見込みです。
🔋 迅速なパイロットライン立ち上げの背景
SKオンの大田パイロットラインでは、ソリッドパワーが供給した材料製造装置の**現場受入試験(SAT)**が進められています。
- 迅速なテスト完了: ソリッドパワーのジョン・ヴァン・スコーターCEOによると、全6バッチのSATのうち、第3バッチが11月末までに完了する予定であり、これによりパイロットラインの正式な稼働開始が可能となります。
- 異例のスピード: 全固体電池のパイロットラインは通常、稼働までに6ヶ月から1年以上を要しますが、SKオンはわずか2ヶ月前の竣工から年内稼働という異例の速さで準備を進めています。
- 技術的シナジー: このスケジュールの加速は、2021年に覚書(MOU)と共同開発契約を結んで以来の、SKオンとソリッドパワー間の技術的連携の強化を裏付けています。
💡 ソリッドパワーの技術的優位性と戦略
ソリッドパワーは、硫化物系固体電解質の開発における独自の強みにより、韓国の主要バッテリーメーカーとの連携を深めています。
| 要素 | 詳細 |
| 全固体電池の優位性 | 従来の可燃性の液体電解質を固体電解質に置き換え、エネルギー密度向上と火災リスクの大幅低減を実現します。 |
| 価格競争力と拡張性 | 同社の硫化物系固体電解質は、既存のリチウムイオン電池製造に用いられるロールツーロール方式の電極コーティング装置と互換性があります。これにより、電池メーカーは最小限の調整で既存ラインをアップグレードでき、多額の設備投資を回避できます。 |
| 生産能力の強化 | 米国政府の支援を受け、現在のバッチ生産から、拡張性の高い連続フロー生産プロセスへの移行を進めており、2026年までに商業化に必要な数千トンの生産量達成を目指しています。 |
| 韓国での多角的な展開 | SKオンに加え、2023年10月にはサムスンSDIおよびBMWと三者提携契約を締結。サムスンSDIがソリッドパワーの電解質を使用し、BMWの仕様に合わせた試作セルを製造します。また、LGエネルギーソリューションや現代自動車グループとも協力を模索しています。 |
🌍 関連情報と業界への影響
1. 全固体電池開発競争の激化
全固体電池は「ゲームチェンジャー」として期待されており、韓国のサムスンSDI(2027年商用化目標)や日本のトヨタ(2027~2028年量産目標)など、世界の主要メーカーが実用化を急いでいます。SKオンの2029年への前倒しは、この競争において主導権を握るための強力な意志を示しています。
2. 外部技術との連携強化
ヴァン・スコーターCEOが指摘するように、韓国のバッテリー企業は、高生産コストといった課題に対処するため、ソリッドパワーのような外部の技術企業との連携を強化する傾向にあります。ソリッドパワーは、互換性の高い技術を提供することで、韓国市場における主要な技術パートナーとしての地位を確立しています。
3. 韓国市場での重要性
ソリッドパワーは2024年1月にソウルに初の海外オフィスを開設しており、これは韓国のバッテリーサプライチェーンへの深い関与を目指す戦略的な動きです。同社の成功は、全固体電池の実用化を加速するだけでなく、韓国の次世代バッテリーエコシステムの競争力を高める上で極めて重要です。


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