SKオンの北米社長ロブ・シュネル氏は、バッテリーショー・ノースアメリカにおいて、「バッテリーの新たなフロンティア」と題した講演で、同社の北米における約120億ドルに上る戦略的投資と、EV及びESSの需要に対応するための包括的な戦略を概説しました。
シュネル氏は、電動化の未来を推進するための戦略を4つの柱として強調しています。
1. セルレベルでの製品イノベーション
SKオンは、単に高ニッケル製品に留まらない、市場の多様なニーズに応える技術革新に注力しています。
・技術的重点分野: エネルギー密度、充電速度、安全性の向上。フォームファクターの拡大と 化学特性の進化。
・LFPバッテリーへの対応: L&F社と提携し、米国でLFPバッテリーの生産基盤を構築。高ニッケル製品だけでなく、コスト効率と安全性を重視する市場の需要に対応。
・次世代技術への投資:セル・トゥ・パック統合、ドライコーティング、熱伝播防止技術開発を推進。
・全固体電池(Solid-State Battery):パートナーであるソリッドパワー社と共同で韓国にパイロット施設を設立。2029年までの商用化を目指し、長期的にはエネルギー密度1000 Wh/Lを目標とする。
2. 工場のイノベーション(インダストリー4.0)
AI、自動化、スマートファクトリー技術を導入することで、効率的な規模拡大とコスト削減を実現しています。
・SKバッテリー・アメリカ(ジョージア州): 26億ドルの投資を象徴する例。最先端の自動化設備と厳格な品質管理体制を導入。年間22GWhの生産能力を持ち、3,000人以上を雇用。
・規模感の強調: ジョージア州の施設は2つの工場で総面積270万平方フィートに及び、その規模 は「フットボール場10面分の長さに相当する」と述べられています。
3. 新たな用途への拡大(ESS市場とeモビリティ)
EV市場に加え、事業の多角化を進めています。
・ESS: フラットアイアン社と提携し、既にESS事業を開始。米国のESS市場は急速に成長しており、現在の40ギガワットから2030年までに100ギガワットを超えると予想されています。
・eモビリティ分野の多様化: 商用車、建設、農業など、幅広いeモビリティ分野への進出を推進。
4. バリューチェーンの拡大(垂直統合とリサイクル)
競争力維持のため、サプライチェーン全体のリスク低減と効率化を図ります。
・リサイクルと再利用: スクラップバッテリーと使用済みバッテリーの技術活用に注力。
・戦略的投資: EV充電技術を専門とするSK Signetの買収など、エネルギー分野の関連事業への 戦略的投資を実施し、垂直統合を強化。
・米国市場への戦略的コミットメント
SKオンの北米での成功は、ジョージア州とケンタッキー州での大規模な拠点構築にかかっています。
・ジョージア州の優位性:
→EV製造の世界的な拠点としての地位。
→州間高速道路、鉄道路線、サバンナ港・ブランズウィック港への近接性といった物流上の利点。
→ボーグル原子力発電所からのクリーンエネルギーの利用。
→州のクイックスタートプログラムによる優秀な人材の確保と研修。
・ケンタッキー州:BlueOval SK
→フォードとの合弁事業(ブルーオーバル工場)を開発。
→目的は、顧客への長期供給の確保、高付加価値製造の現地化、物流と関税リスクの軽減。
■バッテリーメーカーの将来
シュネル氏は、EV普及の伸びが当初予測よりも鈍化していることを認めつつも、市場は着実に成長しており、**2035年までに米国の新車販売の35%**をEVが占めるという予測を示しました。同社は、政策の転換やコスト圧力といった複雑な課題に対し、「準備はできている」として、競争力と適応力を維持するための戦略的な分野に注力していく姿勢を示しました。
SKオンの北米戦略:「4つの柱」で成長を加速—LFP、全固体電池、ESSへの投資を強調
戦略・政策

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