インドの大手コングロマリットであるリライアンス・インダストリーズ(Reliance Industries)は、中国政府が導入するバッテリーサプライチェーン機器の新たな輸出規制(2025年11月8日発効)を前に、中国からのバッテリー部品・機器の注文を急ぎ出荷させていることが情報筋への取材で明らかになりました。
主要な関連情報と背景
| 項目 | 詳細 |
| 企業名 | リライアンス・インダストリーズ(インド、ムケシュ・アンバニ氏率いる) |
| 目的 | インド国内での大規模太陽光発電プロジェクトに必要なバッテリー現地生産計画を達成するため。 |
| 対象部品 | EV用バッテリーの製造に必要なサプライチェーン機器や部品。 |
| 中国の新規制 | 2025年10月に発表され、11月8日に発効。企業はバッテリーサプライチェーン機器の輸出に政府の許可を得ることが義務付けられる。 |
| リライアンスの対応 | チームを中国に派遣し、作業を加速。出荷を早めるため、品質保証や最終点検を省略し、**「着陸したらすぐにテストを行う」**という異例の措置を取っている。 |
| 他社の状況 | 少なくとも12社の外国顧客がリライアンスと同様の状況にあり、輸出許可待ちによる遅延を避けるために同様に急いでいる。 |
| 中国の優位性 | 世界のバッテリーメーカー上位10社のうち6社が中国企業であり、中国がバッテリーサプライチェーンにおいて圧倒的な役割を担っている。 |
影響と懸念
1. インドのエネルギー転換計画への影響
- リライアンスのバッテリー現地生産計画は、インド政府が推進する化石燃料への依存を減らすための大規模太陽光発電プロジェクトにおいて、発電した電力を貯蔵する上で不可欠です。
- 中国製の機器がなければ、リライアンスはバッテリーの組み立てや生産の計画を達成できず、インドの再生可能エネルギー移行計画全体に遅延が生じる可能性があります。
- 実際に、リライアンスのバッテリー製造工場建設は既に遅延しており、政府の生産促進インセンティブ制度(PLIスキーム)に基づくペナルティを科されるリスクも指摘されています。
2. 中国の技術保護と地政学的リスク
- 中国による今回の輸出規制は、レアアース(希土類)の規制強化に続くものであり、貿易紛争に巻き込まれる可能性のある主要技術を北京が保護し、その支配的地位を維持しようとする意図を反映しています。
- 規制対象には、エネルギー密度が高い高性能リチウムイオン二次電池セルや、巻回機、積層機などの製造設備が含まれており、中国が技術革新を保護しようとしていることがうかがえます。
- バッテリーメーカーは「迅速に許可が交付される」と顧客に保証していますが、その間、外国企業は「待つしかなく」、状況は「非常に緊張した状況」にあると情報筋は述べています。
まとめ
インドの巨大企業リライアンスが、中国の新たな輸出規制発効を目前に控え、バッテリー製造機器の緊急確保に奔走している状況は、EVおよび再生可能エネルギー分野における中国のサプライチェーン支配力と、それに対する世界的な脆弱性を浮き彫りにしています。この規制強化は、米中間の技術競争が激化する中で、インドを含む各国が国産化を急ぐEV・蓄電産業のサプライチェーン構築に、具体的な遅延リスクをもたらしています。


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