Orbia Advance Corporation 傘下のOrbia Fluor & Energy Materialsは、使用済みバッテリーなどからグラファイトを回収・再生し、リチウムイオン電池の負極活物質として利用する画期的な技術を開発しました。
これは、環境負荷を大幅に低減しつつ、バージングラファイト(天然グラファイトや合成グラファイト)と同等以上の高い性能を実現する持続可能なソリューションであり、バッテリーのサプライチェーン強化に貢献します。
🚀 画期的なリサイクル技術の特長
Orbiaの次世代バッテリー材料の新規事業開発担当グローバルディレクター、ジョン・ジャドゥ氏へのインタビューに基づき、技術とプロセスの特長は以下の通りです。
| 特長 | 内容 |
| 性能 | 化学的・物理的にバージングラファイトと区別がつかない超高水準で精製。リチウムイオンバッテリーで同等の効率と寿命、安定した充放電サイクルを実現。 |
| 持続可能性 | 既存素材と比較してCO₂排出量を最大70%削減。本来埋め立て/焼却される材料を再利用し、廃棄物の発生も防止。 |
| 精製プロセス | 特許取得済みの柔軟な製造システムにより、スクラップや使用済み電池など複数の原料を処理し、超高純度の材料を生産可能。 |
| コスト競争力 | リサイクルグラファイトをバージン材料とコスト競争力のあるものにできる点が、これまでのリサイクルの大きな障壁を打破。 |
| 専門知識 | 腐食性の高いフッ化水素酸を工業規模で安全に取り扱う専門知識と許可を保有。 |
🌍 サプライチェーンへの貢献と市場の背景
オルビアの技術は、地政学的リスクが高まる中で、完全に循環型のグラファイトサプライチェーンの構築に焦点を当てています。
- 中国依存の軽減: 2023年には、世界の天然グラファイトの79%、合成グラファイトの97%が中国で生産されており、輸入への依存度が高い現状があります。
- 国内製造の強化: 米国国防総省から1,000万ドルの契約資金を受け、ウィスコンシン州マディソンで電解液製造施設を拡張するなど、国内での製造とサプライチェーンの現地化を推進しています。
- 需要と供給のギャップ: 2035年までに世界のグラファイト需要が供給を250万トン以上上回るという予測があり、国産の循環型ソリューションがエネルギー安全保障と業界の成長に不可欠となっています。
- OEMとの連携: 既に複数の大手企業と提携し、使用済みバッテリーからのグラファイト回収・再生をサプライチェーンに再投入するクローズドループ・サプライチェーンの構築を進めています。
📌 課題と展望
- 課題: 閉ループシステムの構築には、リサイクル業者、加工業者、電池メーカー間のシームレスな連携が必要であり、規制の不確実性や、これまで中国からの低価格なグラファイトが入手可能だったことによる導入へのインセンティブの低さが障壁となっていました。
- 機会: 米国では、輸入グラファイトに対する高い関税などが導入され始めており、国内の再生代替品にとって有利な環境が醸成されています。
- 多用途展開: バッテリー以外にも、Orbiaの技術は再生グラファイトを繊維、ポリマー、複合材、摩擦材、ブレーキシステムなどに活用することを可能にし、回収グラファイトのほぼ100%の利用率を目指しています。


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