【2026年7月施行】中国EVバッテリー「発火させない」新国家基準!メーカー選別と業界再編の波

Battery技術

中国政府は、EVシフトを推進する中で発生した電池発火事故などの問題を受け、EV用バッテリー産業を**「量の拡大」から「質の高い発展」**へと転換させるための政策を打ち出しています。これは、安全性と品質の確保を急務とし、国内外のEV市場における信頼性を高める狙いがあります。


🔋 EVバッテリー規制の厳格化と「ホワイトリスト」

中国工業情報化省は、EV用リチウムイオン電池の安全基準を厳格化する**「リチウムイオン電池業界規範条件」を最新版として発表しました。この規範条件を満たした企業のみが、実質的な政府のお墨付きである「ホワイトリスト」**に掲載されます。

1. 新たな国家基準による「メーカー選別」

2015年の施行以来、3回目の改定となる今回の規制強化には、主に以下の3つの変更点があります。

項目主な変更内容と要件目的
生産工程における技術の向上電極の測定・脱水技術、均一性(厚さ2μm、長さ1mm)、含水量(10ppm)、電極の精度・バリの制御、計測能力、不純物管理など。ショートの原因となる不備の防止など、生産過程での品質を徹底。
電池の「質」(性能)の引き上げエネルギー密度の要件引き上げ。
三元系:セル230Wh/kg、モジュール165Wh/kg。
リン酸鉄系:セル165Wh/kg、モジュール125Wh/kg。
EVの性能向上と航続距離の延伸に対応。
電池材料技術の向上正極材、負極材の電流容量規定。
セパレーターの突き刺し強度(湿式法0.204N/μm、乾式法0.133N/μm)の要件化。
材料レベルでの安全性の強化、特に内部短絡防止。

2. 「ホワイトリスト」の隠れた思惑

2017年から実施されている「ホワイトリスト」制度は、過去に外資系企業の参入を実質的に排除し、中国の地場電池企業94社を育成する保護政策の側面がありました。

  • 選定条件の例: 売上高R&D比率3%以上、前年度の工場稼働率50%以上、主要製品の発明特許の保有など。

🔥 2026年7月施行の「新・安全基準」

2026年7月1日から、さらに厳しい**新たな電池安全基準「電気自動車用動力蓄電池安全要求(GB38031-2025)」**が施行されます。

既存の基準(2020年制定)新たな基準(2026年7月施行)目的
熱のコントロールを失った状態から5分間は発火・爆発せず、乗員が逃げる時間を確保する。電池が発火・爆発しないこと、煙が乗客に害を与えないこと。**「燃えても5分の猶予」から「発火させない」**という、安全性の抜本的な引き上げ。
  • 試験の厳格化: 既存の「外部加熱」「釘刺し」に加え、**「内部加熱」**を導入。熱拡散試験を厳格化。
  • 衝突試験: アンダーボディの衝突試験では、電池の漏れ、外殻の破裂、発火・爆発がないこと、および絶縁抵抗などの要件が求められる。
  • 急速充電の安全性: 300回の急速充電サイクル後のショートテストが義務づけられる。

📊 中国電池産業の現状と再編

中国は、世界の車載電池搭載量の**61%(2024年)**を占める世界最大の市場であり、その影響力は極めて大きいです。

  • 搭載量: 2024年の搭載量は548GWhで前年比42%増。
  • 技術別: 生産コストの安いリン酸鉄系電池が搭載量全体の**74.6%**を占め、PHV市場の拡大も追い風となっている。
  • 市場シェア(2024年):
    • CATL: 45.1%
    • BYD: 24.7%
    • 上位10社のシェアが96%に達しており、残りの45社でわずか4%を分け合う寡占状態

中国政府の「質」を重視する政策転換は、すでに寡占化が進む市場において、技術力と資本力に劣る中小電池メーカーの淘汰を加速させ、大手企業への再編を促すものと見られています。生き残るには、新たな国家基準が要求する高い技術水準と安全性の確保が「ボーダーライン」となります。


💡 まとめ

中国政府は、EV発火事故を契機に、EV用バッテリー産業を**「安全性と品質」最優先へと舵を切りました。2026年7月施行の新安全基準は、事実上の「発火・爆発の完全防止」を義務づけるもので、これは、技術と資本力を持つ大手メーカーに有利に働き、競争力のないメーカーを排除する「メーカー選別」**の役割を果たすでしょう。この政策は、中国製バッテリーの信頼性向上と、ひいては世界のEVシフトにおける中国の優位性を確立するための重要な一手となります。

出典:https://gentosha-go.com/articles/-/72830

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