【次世代電池】1,500サイクル後も高性能を維持、MOFコーティングが副反応を抑制

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中国科学院の研究者らは、全固体ナトリウム(Na)イオン電池の主要課題である高電圧正極(カソード)と固体電解質間の望ましくない副反応を低減するため、MOF(金属有機構造体)を用いた効果的なコーティング戦略を発表しました。この技術は、Naイオン電池の高い不安定性を克服し、高エネルギー密度と長寿命を持つ次世代電池の実現に貢献するものです。


主要な関連情報

項目一般テキスト表記
研究対象全固体ナトリウム(Na)イオン電池
技術的課題高電圧正極と固体電解質の間で発生する副反応による電池性能の早期劣化。ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池より化学反応性が高い。
解決戦略高電圧正極の表面に緻密なMOF(金属有機構造体)層を成長させる。
MOF層の作製室温等方性エピタキシャル成長法と呼ばれるプロセスを採用。
対象正極NVOPF(リン酸バナジウムフッ化物ナトリウム。Na3V2O2(PO4)2F)
電解質PEO(ポリエチレンオキシド)ベースの固体ポリマー電解質
性能向上4.2ボルト(V)カットオフで、**1,500サイクル後も初期容量の最大77.9%**を維持。
解析手法独自開発のその場(in situ)でのLSV-GCMS法(線形スイープボルタンメトリーとガスクロマトグラフィー-質量分析法を組み合わせた手法)。
将来性この戦略は、組成の異なる他の正極材料や電池にも適用可能

技術的詳細と研究の意義

1. MOFコーティングによる安定化のメカニズム

全固体電池は、液体電解質を用いる既存の電池よりも高いエネルギー密度と長寿命の可能性を秘めていますが、特に安価で資源豊富なナトリウム(Na)を用いる場合、ナトリウムイオンとナトリウムの酸化還元電位が高いため、正極と固体電解質の界面で望ましくない分解反応が起こりやすいという問題がありました。

研究チームは、正極材料であるNVOPF(リン酸バナジウムフッ化物ナトリウム)の表面に、室温等方性エピタキシャル成長法を用いて均一で高密度なMOF層を成長させました。この緻密なMOF層が、正極と固体電解質(PEO)との直接接触を防ぐ「保護バリア」として機能し、副反応を大幅に最小限に抑えることに成功しました。

2. 驚異的なサイクル安定性

このMOFコーティングを施した正極を用いた固体電池は、4.2ボルトという高電圧カットオフ条件下において、1,500サイクル後も初期容量の**77.9%**を維持するという優れたサイクル安定性を示しました。これは、高電圧条件下での全固体Naイオン電池としては非常に困難であった長寿命化を達成する、有望な結果です。

3. 独自解析手法の開発

研究者らは、副反応のメカニズムを正確に理解するため、その場(in situ)でのLSV-GCMS法という高感度な特性評価技術を独自に開発しました。これにより、PEO固体電解質が正極表面でどのように分解するのかを明確に解明し、等方性MOF層が優れた電気化学的安定性を持つことを実験的に証明しました。

4. 次世代電池への貢献

このMOFコーティング戦略は、Naイオン電池の主要な弱点を克服するものであり、リチウムに比べて資源が豊富で安価Naイオン電池の実用化に大きく貢献する可能性があります。また、この戦略が他の種類の正極や固体電池にも適用可能であることから、耐久性と信頼性に優れた全固体電池の商業的な大規模展開への道を拓くものとして期待されています。

出典:https://techxplore.com/news/2025-10-isotropic-mof-coating-side-reactions.html

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