米ミシガン州は2025年10月23日、中国の電池メーカーである**国軒高科(Gotion High-tech Co., Ltd.)**の子会社が、同州ビッグラピッズでの電気自動車(EV)用電池材料工場の建設を断念したと発表しました。
主要な関連情報
| 項目 | 詳細 |
| 対象企業 | 国軒高科(Guoxuan High-tech、ゴーション・ハイテク)の子会社。 |
| 建設予定地 | 米ミシガン州 ビッグラピッズ(Big Rapids)。 |
| 計画規模 | 約24億ドル(約3400億円)規模の投資。EV用電池の正極および負極の主要材料を生産する計画でした。 |
| 雇用創出 | 2,350人の雇用創出が見込まれていました。 |
| 発表時期 | 2022年10月に建設計画が発表されました。 |
| 州の支援 | 州が交付する予定だった1億2,500万ドルの補助金は一切支給されていません。 |
| 土地取得費用 | 用地の購入に充てられた2,360万ドルの補助金について、ミシガン州経済開発公社(MEDC)は返還を求める方針です。 |
| 筆頭株主 | ドイツの自動車大手 フォルクスワーゲン(VW)。 |
断念の背景と論争点
1. 地政学的な懸念と議員の批判
- 計画が発表された当初から、国軒高科が中国系企業であることに対し、米国の一部の議員から強い批判を浴びていました。
- 特に、同社がVWを筆頭株主としているものの、複数の米議員は先月、「中国が多数の個人株主を通じて事実上の支配権を維持している」と主張し、安全保障上の懸念を表明していました。
- この論争は、米中間の経済・技術競争が激化する中で、米国内における中国資本による重要技術サプライチェーンへの関与に対する警戒感の表れです。
2. 訴訟と地元での反発
- 国軒高科の子会社は、2024年3月時点で、ミシガン州の自治体が工場建設に関する合意に違反したとして訴訟を起こしていました。
- 同社はMEDCに宛てた書簡で、工場建設を断念したという非難を「全くの虚偽」だと否定しつつ、現地で激しい攻撃にさらされたと主張しており、地元住民や政治的な反発が建設中止の大きな要因となったことを示唆しています。
3. 米国の製造業誘致政策への影響
- 本件は、米国のEV移行を加速させるための大規模な製造業誘致策である**インフレ削減法(IRA)**が抱えるジレンマを浮き彫りにしています。
- IRAは北米内でのEV関連製品の製造を促していますが、一方で中国を念頭に置いた厳しい部品調達規制(「外国の懸念団体」による部品の排除)があり、中国企業の直接投資が政治的な障壁に直面するケースが増えています。
まとめ
国軒高科によるミシガン州でのEV電池材料工場の建設断念は、地政学的な摩擦と国内政治的な反発が、米国のEVサプライチェーン構築における大規模な外国投資を阻害した明確な事例です。ミシガン州は補助金返還を求め、同社は地元での「激しい攻撃」を主張しており、この一件は、米国がクリーンエネルギー製造業の強化と、中国への経済的な警戒という相反する目標の間で揺れ動いている現状を象徴しています。
出典:https://jp.reuters.com/markets/global-markets/TH6PVJZMFJNU7BQSDFZ7FF2B74-2025-10-24/


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