中国が来月(11月)から開始する予定の高性能リチウムイオンバッテリー関連製品の輸出規制に対し、韓国のバッテリー業界が強い懸念を抱いています。特に、現在注力している エネルギー貯蔵装置(ESS) 事業への影響が懸念されています。
1. 緊張の背景:中国への高い依存度
韓国のバッテリー企業は、正極材や負極材といったバッテリーの核心素材を中国に極めて高く依存しています。
| 素材カテゴリー | 核心素材 | 中国依存度 |
| 負極材 | 天然黒鉛 | 97.6% |
| 人造黒鉛 | 98.8% | |
| 正極材 | 前駆体 | 94.1% |
| 水酸化ニッケル | 96.4% |
出典:共に民主党・李在官議員が産業通商部から受けた資料
2. 中国の輸出規制の概要と影響
中国は、来月8日から、高性能リチウムイオンバッテリーの完成品、正極材、黒鉛負極材、バッテリー製造機械などを輸出規制の対象とすることを決定しました。これは、レアアース(希土類)関連技術に続き、バッテリーの核心素材を「武器化」する動きと見られています。
この規制が現実化すれば、韓国企業は原材料価格の上昇や納期の不安定化といった深刻な被害を受ける可能性があります。
3. ESS(エネルギー貯蔵装置)事業への懸念
電気自動車(EV)の需要低迷を受け、韓国バッテリー3社(SKオンなど)は新たな成長市場として ESS 攻略にスピードを上げています。SKオンは先月、米コロラド州の企業と 100万キロワット時規模のESS供給契約を締結するなど、北米市場での拡張を進めています。
しかし、ESS用バッテリーには、韓国が技術的に後発である 中国製のリン酸鉄リチウム(LFP)正極材 への依存度が極めて高いため、輸出規制は ESS 攻略計画に支障をきたすことが避けられないと業界関係者は指摘しています。
4. 米中首脳会談への期待と関連情報
韓国バッテリー業界の目は、今週の韓国・慶州(キョンジュ)での APEC首脳会議週間に集まっています。トランプ米大統領と習近平中国国家主席の会談で「和解ムード」が醸成されれば、輸出規制措置が撤回または猶予される可能性に期待しています。
- 米側の見解(ベッセント米財務長官): 26日、「中国が議論したレアアース輸出規制措置は、一定期間猶予される」と予想を示しました(1年間の施行延期を信じる、との発言)。
- 韓国側の解釈(韓国貿易協会): 米国側はレアアース以外のバッテリー輸出規制については言及しておらず、明示的な発表がないため、会談結果を注視する必要があるとしています。
5. 長期的な課題:「脱中国」への動き
業界では、目先の規制動向とは別に、**サプライチェーンの「脱中国」**を加速させるべきとの指摘が強まっています。
- 米国の法規制: 米国の インフレ抑制法(IRA) の「制限対象外国企業(PFE)」規定を避けるためにも、中国への依存脱却は必須です。
- 韓国企業の取り組み: 韓国バッテリー3社は、オーストラリアや南米などから原料供給を拡大しようと努力しています。
6. 韓国と中国の競争力比較(SNEリサーチ報告)
SNEリサーチの報告書は、中国のCATLが韓国バッテリー3社を売り上げと収益性で追い抜いた構造的な原因として、供給網の違いを指摘しています。
- CATL: 原材料からリサイクルまで垂直系列化されたバリューチェーンを完成させ、原価とリードタイムを最小化。
- 韓国: 核心素材段階で中国への依存度が高く、競争力維持のためには**核心素材の内在化(自給化)**が必須。
| 企業 | 昨年の売上高 | 営業利益 | 構造的な強み |
| CATL | 3,620億元 (約7.7兆円) | 507億元 (黒字) | 原材料からリサイクルまで垂直系列化 |
| 韓国3社平均 | 約1.7兆円 | 1,883億ウォン (赤字) | 核心素材の中国依存度が高い |
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/746bfabb12f182dbbe74b4726b7de71c9978336f


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