世界の海運業界が「化石燃料からの完全脱却」という歴史的な分岐点を迎えるなか、韓国のハンファグループと中国のCATL(寧徳時代)による主導権争いが激化しています。
国際海事機関(IMO)による2050年のカーボンニュートラル目標が現実味を帯び、欧州を中心とした環境規制が一段と厳格化されるなか、両社は単なる「船の電動化」に留まらず、港湾インフラや次世代エネルギー貯蔵システム(ESS)を含む包括的な「海洋エコシステム」の構築を急いでいます。
かつて自動車業界で起きた「EVシフト」の波が、今まさに大海原へと波及しようとしています。技術的ハードルやインフラ不足という課題を抱えながらも、10年で10倍に膨れ上がると予測される巨大市場を巡り、中韓を代表するエネルギーリーダーたちが示した最新の戦略を整理します。
【整理】電気船市場におけるハンファとCATLの対比
| 項目 | ハンファ (Hanwha) | CATL |
| 強み | 造船(ハンファオーシャン)から防衛、エネルギーまで垂直統合された「トータルソリューション」 | 世界シェア40%を誇る「圧倒的なバッテリー技術力」と量産コスト |
| 戦略の核 | 船舶・ESS・港湾充電を繋ぐ「海洋エコシステム」の構築 | 独自のバッテリー交換式システムと「スマート船舶クラウド」の展開 |
| 最新の動き | ダボス会議でエコシステム提唱。欧州港湾とのパイロットプロジェクト着手。 | 今後3年以内の完全電気推進・遠洋航海船の進水計画。 |
| 解決策 | 「液浸冷却」による火災防止など、高い安全性と信頼性の追求。 | 内航船での豊富な実績をベースとした「標準化」の推進。 |
今後の注目ポイント
- 「液浸冷却」の実用化: ハンファが開発中の、バッテリーを液体に浸して冷却する技術が、海上での火災リスクをどこまで低減できるか。
- インフラの国際標準: 港湾での充電・バッテリー交換方式において、中国勢の規格がデファクトスタンダード(事実上の標準)になるのか。
- 規制の進展: 2027年から始まるEUの炭素排出枠義務化に対し、電気船がどれほどコスト競争力を持てるか。


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