中国の電線・ケーブルメーカーである金龍羽集団(Jinlongyu Group)は、2026年1月12日、全固体電池の生産拠点建設に12億人民元(約1億7000万米ドル)を投じる計画を発表しました。これを受け、翌13日の同社株価は一時9.6%急騰しました。
プロジェクトの詳細
- 建設地: 深セン市大鵬新区(賃貸施設を利用)
- 年間生産能力: 2ギガワット時(2 GWh)
- 工期: 約2年を予定
- 運営主体: 子会社の金龍羽新能源(深セン)有限公司
関連情報:金龍羽の固体電池戦略と市場背景
金龍羽は本業の電線事業から、成長著しい次世代電池分野への事業転換を急速に進めています。
1. 実績と技術力
- ドローン向け受注: 2025年5月時点で、ドローンメーカーからエネルギー密度 500ワット時/キログラム(500 Wh/kg) という極めて高い性能を持つ固体電池セル10万個を受注済みです。
- 開発の進捗: 2021年から参入し、2024年末までに電解質、セパレーター、正負極材料の合成からプロセス検証、顧客評価までを一通り完了させています。
- 材料生産拠点: 今回の工場とは別に、隣接する恵州市でも12億人民元を投じて材料生産拠点を建設中であり、サプライチェーンの垂直統合を狙っています。
2. 中国の固体電池市場の動向(2026年の潮流)
中国政府(工業情報化部)は2026年を「第15次5ヵ年計画」の開始年と位置づけ、全固体電池を国家的な優先事項に掲げています。
- 業界標準の確立: 2026年1月、中国は世界に先駆けて全固体電池の国家標準案を公開しました。これにより、粗悪な製品を排除し、商用化に向けた基準が明確化されました。
- エネルギー密度の競争: 広州汽車(GAC)や奇瑞汽車(Chery)などの自動車大手も、2026年から2027年にかけて 350-600 Wh/kg のエネルギー密度を持つ固体電池の車両搭載や小規模生産を計画しています。
まとめ:金龍羽の進出が意味すること
金龍羽の2ギガワット時規模の工場建設は、単なる技術開発段階を終え、工業規模での量産(産業化)に足を踏み入れたことを象徴しています。
- 高付加価値市場への特化: 500 Wh/kgという高スペックは、重量に敏感なドローンや空飛ぶクルマ(eVTOL)といった高単価市場を初期ターゲットにしていることを示唆しています。
- 投資の加速: 材料(恵州)とセル生産(深セン)の両面で巨額投資を行うことで、コスト競争力の確保を目指しています。
- 市場の期待: 本業の停滞を新事業で打破する姿勢が投資家に評価されています。


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