中国政府が電池製品に対する輸出付加価値税(VAT)の還付率を引き下げ、将来的に撤回すると発表したことを受け、リチウム価格が急騰。2023年11月以来の高値を記録しました。
1. 政策変更のスケジュールと市場の反応
- 政策内容: * 2026年4月〜:還付率を9%から6%に引き下げ
- 2027年1月〜:全面的に撤回(0%へ)
- 市場の即時反応: * 広州先物取引所の炭酸リチウム先物が一日の制限値(ストップ高)まで上昇(1トン=15万6,060元)。
- 2025年半ばの安値から167%の急騰を記録。
2. なぜ価格が上がっているのか?(短期的要因)
還付金の縮小・撤回は、一見すると輸出にマイナスですが、短期的には逆の現象が起きています。
- 駆け込み需要(フロントローディング): 税率が変わる4月までに輸出を終えようと、業者がバッテリー生産と出荷を急ピッチで加速させています。
- リチウム需要の急増: バッテリー増産に伴い、原料となる炭酸リチウムの需要が一時的に供給を上回る形となりました。
💡 関連情報:中国政府の狙いと世界への影響
記事の内容をより深く理解するための背景情報を補足します。
① 中国の狙い:「過当競争の是正」と「価格支配力の維持」
中国国内のリチウム・電池業界は、これまで政府の補助金によって爆発的に成長しましたが、同時に深刻な過剰生産に陥っていました。
- 内向き競争(内巻)の抑制: 安売り合戦を止めさせ、体力のある大手企業(CATLなど)に集約させる狙いがあります。
- 国家戦略の転換: 「安く大量に売る」段階から、付加価値の高い製品で「適正な利益を取る」段階へシフトしようとしています。
② リチウム市場の構造変化
2024年までリチウム価格は供給過剰により低迷していましたが、現在は以下の要因で上昇基調にあります。
- 供給絞り込み: 大手CATLが一部鉱山(建霞窩鉱山など)の生産を停止するなど、需給バランスの調整が進んでいます。
- 蓄電システム(ESS)の台頭: EV向けだけでなく、再生可能エネルギー貯蔵用の巨大バッテリー需要が世界的に急増しています。
③ 世界のEV・電池メーカーへの影響
- コスト増の転嫁: 輸出還付金がなくなれば、中国製バッテリーの価格競争力が低下します。これは海外のEVメーカー(テスラや欧州勢)にとってコスト上昇要因となります。
- 脱中国の加速?: 中国製電池が高くなることで、米国(IRA法関連)や欧州での現地生産や、ライラック・ソリューションズ(米)のような中国以外でのリチウム調達プロジェクトの価値が相対的に高まる可能性があります。
まとめ:今後の注目点
今回の急騰は「駆け込み需要」という一時的な側面が強いですが、長期的には「中国発の格安バッテリー時代の終わり」を示唆している可能性があります。2026年4月の税率変更前後に、再度大きな価格変動が予想されます。


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