Capchemの垂直統合戦略:サウジでの原料生産と欧州拠点の拡張でコスト競争力を追求

Battery主要部材

Capchemは、世界的なリチウムイオン電池需要の拡大に対応するため、中東と欧州で大規模な投資計画を発表しました。

1. サウジアラビア:大規模溶媒工場の建設

  • 投資額: 2億6000万米ドル
  • 場所: ヤンブー重工業団地
  • 生産能力: カーボネート溶媒(年間20万トン)、エチレングリコール(年間10万トン)
  • 狙い:
    • 電解液の主成分である溶媒と、その原料(エチレングリコール)を自社生産し、サプライチェーンを強化。
    • ポーランドを含む海外工場への原料供給拠点とし、物流コストを削減。
    • 欧州、東南アジア、および稼働前の米国市場への供給ハブとする。

2. ポーランド:電解液工場の生産能力増強

  • 投資額: 最大2億人民元(約2860万米ドル)
  • 場所: シュレム工場(第2期建設)
  • 内容: 年間生産能力を5万トン増強(第1期の4万トンと合わせ、計9万トン規模へ)。
  • 狙い: 欧州内での供給不足を解消し、LGエナジーソリューションやフォルクスワーゲンなどの主要顧客への対応力を高める。

関連・補足情報:リチウムイオン電池の構造とCapchemの立ち位置

Capchemが供給する「電解液」は、電池の性能を左右する「4大材料」の一つです。今回の投資により、同社は材料の提供だけでなく、その「原料(溶媒)」までを自社で垂直統合しようとしています。

電解液市場におけるCapchemの強み

  • 世界シェア: SNEリサーチによると、2025年上半期時点で世界シェア15-16%を誇るトップクラスのサプライヤーです。
  • グローバル・フットプリント:
    • アジア: 中国国内、マレーシア(稼働中)。
    • 欧州: ポーランド(拡張中)。
    • 北米: オハイオ州、ルイジアナ州(建設・計画中)。
  • 垂直統合戦略: サウジアラビアでの溶媒生産は、原料価格の変動リスクを抑え、競合他社に対するコスト優位性を築くための戦略的な一手です。

今後の展望と市場への影響

  • サウジアラビアの「ビジョン2030」との合致: サウジは石油依存からの脱却を掲げ、EV産業の誘致を推進しています。Capchemの進出は現地化を求めるサウジ側の意向とも一致しており、今後現地の投資家を招き入れることで、中東での足場をより強固にする可能性があります。
  • 米欧の規制対応: 米国のIRA法(インフレ抑制法)や欧州のCRMA(重要原材料法)など、サプライチェーンの脱中国依存が進む中で、Capchemは各地に工場を分散させることで、地政学リスクを回避しながらグローバルな受注を獲得する姿勢を鮮明にしています。

出典:https://www.yicaiglobal.com/news/chinas-capchem-to-build-lithium-battery-materials-plant-in-saudi-arabia-for-usd260-million-boost-polish-factory-capacity

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