業界をリードする2社が、**「高エネルギー密度」と「優れた高温性能」**を両立するグラファイト(黒鉛)フリーのリチウムイオン電池(LIB)を開発しました。
両社の役割
- Group14 Technologies: 高性能シリコン・カーボン(Si-C)複合負極材料「SCC55®」を提供。
- 多孔質ハードカーボンの骨格内にナノSiを封じ込める構造で、Si特有の膨張問題を解消。
- Sionic Energy: 「Rapid Integration Silicon Platform™」を提供。
- 独自の電解質、バインダー、セル設計技術を用いて、100% SCC55®アノードの性能を最大化。
技術的ブレイクスルー:シリコン負極の課題解決
従来のシリコン負極は、充放電時の激しい体積変化(膨張)や、それに伴う電解液の分解(SEIの再形成)が原因で、寿命が短いという欠点がありました。
1. 膨張の抑制と安定性
SCC55®の内部空隙設計とSionicの独自バインダーにより、外部からの圧縮なしでセル膨張率を4%未満に抑制。これにより、従来のグラファイトと同等のサイクル安定性を実現しました。
2. エネルギー密度の極大化
- エネルギー密度: 最大 400 Wh/kg(第4世代設計)。
- 急速充電: 10分未満での充電が可能。
- ドロップイン設計: 既存のリチウムイオン電池製造ラインをそのまま活用可能。
3. 高温(HT)環境下での性能維持
通常、リチウムイオン電池は高温下で電解液の分解やガス発生が加速しますが、Sionicは田口メソッドを用いた高度な実験計画法により、最適な電解質配合を特定しました。
- 高温サイクル: 45°C環境下で、ベースラインの電解液が急激に劣化するのに対し、SionicのHT電解質は極めて安定した推移を示しました。
- 保存安定性: 60°Cでの保存試験でも、ガス発生やインピーダンスの上昇を大幅に抑制。
実用化に向けた性能指標
開発された20Ahパウチセル(100%シリコンアノード)の主要スペックは以下の通りです。
| 項目 | 性能値 / 特徴 |
| エネルギー密度 | 370 – 400+ Wh/kg / 1000 Wh/L |
| サイクル寿命 | 600 – 1400サイクル(設計による) |
| 動作温度範囲 | -30°C から 45°C |
| 入出力特性 | 10分未満の急速充電 / 4C-5Cの連続放電 |
| 電解液量 | 理論的限界値(EL th)以下でも安定動作 |
結論と今後の展望
この提携により、シリコン主体のアノードが抱えていた「熱に弱い」「膨らむ」「寿命が短い」という実用化の壁が取り払われました。
この技術は、電気自動車(EV)、AI対応デバイス、空飛ぶクルマ(eVTOL)、航空宇宙など、過酷な温度条件下で高いエネルギー密度が求められる次世代の電動化市場を牽引するドロップイン・ソリューションとなります。
出典:https://group14.technology/resources/whitepapers/sionic-energy-and-group14-whitepaper/


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