カナダ保健省、リチウムイオン電池への強制安全基準を提案 ― 2026年2月まで意見公募中

Battery技術

これまでカナダでは、リチウムイオン電池の安全性は「カナダ消費者製品安全法(CCPSA)」の一般的な危険規定によって管理されてきました。しかし、火災事故の増加を受け、より厳格で具体的な**「技術的強制要件」**の導入へと舵を切りました。

1. 規制提案の要点(2025年12月発表)

カナダ保健省は、リチウムイオン電池を「懸念のある危険物(Hazards of Concern)」として正式に位置づけ、以下のスケジュールで意見公募(パブリックコンサルテーション)を開始しました。

  • 意見公募期間: 2025年12月2日 ~ 2026年2月14日
  • 目的: 過熱、熱暴走、発火、爆発リスクの最小化
  • 特徴: 独自規格を作るのではなく、CSAやUL、IECなどの国際標準をベンチマークとして採用し、それへの適合を義務付ける方針。

2. 対象となる製品の範囲(非常に広範)

消費者がカナダ国内で購入・使用するほぼすべてのリチウムイオン電池搭載製品が対象となる可能性があります。

  • 家電・IT: スマートフォン、ノートPC、ウェアラブル端末、VAPE(電子タバコ)
  • 家庭用・玩具: コードレス掃除機、電動工具、スマート玩具、ベビーモニター
  • マイクロモビリティ: 電動自転車(e-Bike)、電動キックボード(e-Scooter)
  • 単体電池: 交換用リチウムイオンバッテリーパック

🛠 メーカー・輸入業者が準備すべき「3つの柱」

今回の提案が正式に施行されると、メーカーは単に「安全である」と主張するだけでなく、以下の客観的証拠を揃える法的責任を負います。

① 国際規格への適合証明

以下の規格、またはそれと同等の国際規格への適合が事実上の「市場アクセスの条件」となります。

  • CSA C22.2 No. 62133-2 / UL 62133-2: ポータブル機器用リチウム二次電池の安全性
  • UL 1642 / UL 2054: 家庭用・商用バッテリーの安全性
  • BMS(電池管理システム)の要件: 過充電や過放電を防ぐ保護回路の性能証明。

② 第三者認証の重要性

カナダ保健省は、**SCC(カナダ規格評議会)**が認定した第三者試験機関による認証を、コンプライアンスを証明する「最も効率的な手段」として推奨しています。自社試験だけでなく、外部機関の証明書がこれまで以上に重要になります。

③ トレーサビリティと文書化

製品に問題が発生した際、どの段階でどのテストを通過したかを追跡できる文書(テストレポート、設計レビュー記録)の保管が義務付けられます。


💡 【関連情報】グローバルな規制強化の流れ

カナダのこの動きは、独立したものではなく世界的なトレンドに沿ったものです。

  • 米国: 消費者製品安全委員会(CPSC)が、特に電動自転車やスクーターなどのバッテリーに対する強制規格の導入を強力に進めています。
  • EU: 新しい「欧州電池規則」により、持続可能性だけでなく安全性の申告も義務化が進んでいます。
  • 背景: リチウムイオン電池火災は消火が非常に困難で、住宅火災の主要原因の一つとなっているため、各国政府が「自主規制」から「強制的法規制」へとシフトしています。

出典:https://www.sgs.com/en-ge/news/2025/12/safeguards-19025-canada-shifts-toward-mandatory-lithium-ion-battery-safety-requirements

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