環境負荷を低減へ:イリノイ大学、高性能な電気化学リチウム回収法を開発

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イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のシャオ・スー教授らが主導した新たな研究により、使用済みリチウムイオン電池からリチウムを選択的かつ効率的に回収するための革新的な電気化学的プロセスが開発されました。この方法は、サプライチェーンの混乱の影響を受けやすいリチウムの循環利用を促進し、経済的な実現可能性も示されています。


💡 新しいリチウム回収技術の仕組み

スー教授らが開発したこのプロセスは、従来の回収方法よりも操作が簡素化され、コストの最小化が期待されます。

プロセスの概要

  1. 浸出(溶解): 使用済み電池を分解し、金属を有機溶媒に浸出させ、リチウムと他の金属を含む混合物(浸出液)を作ります。
  2. 選択的捕捉: この浸出液を電気化学セルに移します。セルには、特殊設計された**共重合体(酸化還元活性クラウンエーテル共重合体)**でコーティングされた電極が使用されています。
  3. リチウムの分離: この共重合体が、他の金属が残る浸出液からリチウムイオンを特異的に捕捉します。
  4. 放出と回収: リチウムを充填した電極を新しい溶液に入れ、電圧をかけると、ポリマーが捕捉したリチウムイオンを放出し、純粋なリチウムとして回収されます。
  5. 電極の再生: この電気化学的な再生プロセスにより、電極は繰り返しリチウム回収サイクルに使用できます。

鍵となる技術: 「リチウム回収工程において、有機浸出液中に他の金属が存在することが主な課題であった」とスー教授は述べています。この課題を克服するため、有機溶媒からリチウムを選択的に直接捕捉し、電気化学的に再生可能な共重合体が導入されました。

💰 経済的な優位性

この研究では、資源回収の研究に不可欠な経済的実現可能性の分析が行われました。

  • スー教授は「3段階のアプローチを使うことで、回収されたリチウムは、現在のリチウム市場価格に比べて経済的に有利なコストで生産できることがわかった」と述べています。
  • これは、この新しい回収方法が、既存のリチウム生産方法(採掘など)に対して、大幅な低コスト化、または少なくともコスト競争力を持つ可能性があることを意味します。

🌐 関連情報:リチウムサプライチェーンと電池市場の動向

このリチウム回収技術は、現在急速に成長しているリチウムイオン電池市場と、それに伴う環境・資源問題への重要なソリューションを提供します。

  • リチウム価格の不安定性:
    • 以前のニュースの通り、リチウムはリチウムイオン電池の主要なコスト要素であり、その価格は地政学的緊張やサプライチェーンの混乱により非常に不安定です。高効率な回収技術は、この価格変動リスクを軽減する助けとなります。
  • 「ポスト・リチウム」電池との関連:
    • 貴社が開発した水性アルミニウムイオン電池のような、リチウムに依存しない次世代電池が注目を集めていますが、当面はリチウムイオン電池が市場の主流であり続けます。
    • そのため、この電気化学的回収技術は、市場に大量に存在するリチウムイオン電池のライフサイクルを完結させ、**資源の循環性(サーキュラーエコノミー)**を高める上で極めて重要です。
  • 環境負荷の軽減:
    • リサイクルにより、採掘などの他のリチウム抽出方法に伴う環境への影響を軽減し、より持続可能なサプライチェーンの構築に貢献します。

🔜 今後の見通し

概念実証の結果は非常に有望ですが、スー教授は今後、システムのスケールアップやプロセスモデリングなど、さらなる研究が必要であると述べています。

この研究は、廃電池からの金属リサイクルにおける電気化学的分離技術の幅広い適用可能性を浮き彫りにしています。

出典:https://news.illinois.edu/study-shows-new-hope-for-commercially-attractive-lithium-extraction-from-spent-batteries/

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