英国のバッテリー技術企業であるAnaphite(アナファイト)は、同社が特許を持つ電極ドライコーティング技術プラットフォームに関する第三者(Minviro社)の持続可能性評価結果を発表しました。この技術は、従来のウェットコーティングプロセスと比較して、バッテリー製造の二酸化炭素排出量を大幅に削減する可能性が確認されました。
1. CO2削減効果(Minviro社の評価結果)
| 指標 | 削減量 | 備考 |
| セル容量あたり | 3.57 kg CO2 相当/kWh | 従来のウェットコーティング(世界の99%以上で使用)との比較。 |
| 年間削減ポテンシャル | 700万トン CO2 相当 | 2025年に製造されるすべてのセルがAnaphiteの技術に完全に置き換えられた場合。 |
| 75kWhバッテリーパックあたり | 268 kg CO2 相当の削減 | 標準的なEVバッテリーパックに適用した場合。 |
【補足】700万トンのCO2削減のインパクト
これは、約3億2,000万本の植樹に相当する環境効果であり、世界のバッテリー需要が2030年までに倍増すると予想される中で、この技術の早期導入が不可欠とされています。
2. ドライコーティング技術の優位性
- ウェットコーティングの課題: 現在主流のウェットコーティングプロセスは、電極を大規模に乾燥させるために巨大なオーブンを必要とするエネルギー集約型であり、大きな二酸化炭素排出量の原因となっています。
- Anaphiteの解決策: 同社の特許技術は、電極の主要成分すべてを単一の人工材料に統合し、乾燥オーブンが不要な高速ドライコーティングライン向けに最適化されています。これにより、エネルギー消費と炭素排出量を大幅に削減します。
3. EUバッテリー規制への対応(関連情報)
この技術は、OEM(自動車メーカー)やバッテリーメーカーが、欧州連合(EU)の厳格な環境規制に対応する上で大きな競争優位性をもたらす可能性があります。
- EUバッテリーパスポート規制: 2027年から2kWhを超えるEVおよび産業用バッテリーに義務付けられます。
- 義務付け内容: EU市場に投入される各バッテリーは、LCA(ライフサイクル評価)に基づいて総カーボンフットプリントを報告する必要があります。
- 規制目標達成への貢献: Anaphiteの技術は、製造プロセスにおける炭素排出量を大幅に削減できるため、将来設定される可能性のある法的目標達成に直接的に貢献します。
4. 評価の信頼性
- 独立評価: 評価は、ライフサイクル評価の専門家であるMinviro社によって実施されました。
- 国際規格準拠: 炭素削減量の評価は、炭素フットプリント計算のISO-14067規格に準拠しており、厳格なレビューを受けています。評価に使用された特性評価モデル(IPCC2021 GWP100)は、次期EUバッテリー規制で提案されているモデルと一致しています。
開発の背景
Anaphite社のこの研究は、英国政府による**自動車産業変革基金(ATF)**の助成金を受け、英国先進推進センター(APC UK)が支援するプロジェクトの一環として進められています。


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