カナダのオンタリオ州ウィンザーにある、ステランティスNVとLGエナジーソリューションの合弁会社であるネクストスター・エナジー社のバッテリー工場が、来月(2025年11月)商業生産を開始しますが、当初の計画であった電気自動車(EV)用ではなく、エネルギー貯蔵システム(ESS)用バッテリーの生産を優先します。
この戦略転換は、EV販売の減速という現状に対応するためのもので、ネクストスターのCEOは、EV市場が回復するまでの工場稼働を維持するための「チャンス」と捉えています。
📊 関連情報:市場と技術の背景
| 分野 | 詳細 | 補足情報・関連動向 |
| EV市場の状況 | EV販売が低迷。S&Pグローバル・モビリティによると、2025年第2四半期の新車登録台数に占めるEVの割合は9.2%に減少(前年第4四半期の18.9%から減少)。 | カナダでは、EV販売目標の延期や、トランプ政権によるカナダ製自動車への25%の関税の可能性など、自動車産業に不透明な要因が存在します。 |
| ESS市場の成長 | AI技術の進歩などによる電力需要の増加を背景に、電力網の効率化と需要管理に役立つESSバッテリーの需要が急増。 | ブルームバーグNEFは、世界のESS設置量が2025年に23%増加し、2035年まで年平均14.7%の成長を予測しています。テスラもESS事業で前年比67%増の収益を達成するなど、巨大な市場規模が指摘されています。 |
| 生産バッテリー | EVで主流のニッケルリッチなバッテリーではなく、リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーの生産設備に変更。 | LFPバッテリーは、重量が重くエネルギー密度が低いためEVには不向きとされるものの、以下の理由で定置型ESSに適しています。 – 高い安全性と長いサイクル寿命 – 低コスト(コバルトやニッケルを使用しないため) – エネルギー密度の向上とコスト低下により近年再評価。 |
| カナダの優位性 | LFPバッテリー生産の主要原材料(リン酸、リン酸鉄、リチウム)の一部は、カナダ国内で調達可能であるため、産業戦略上の大きな勝利となり得ます。 | ナノワン・マテリアルズ(バンクーバー拠点)が、LFPカソード製造の特許プロセス実証・スケールアップを目指すパイロットプラントを稼働させています。 |
| 工場規模と支援 | 50億ドル規模、423万平方フィート(11棟)、従業員は最終的に2,500人超。 | カナダ初の大規模リチウムイオン電池製造施設であり、連邦政府とオンタリオ州政府から推定10億ドルの直接支援と、2032年までに最大176億ドルの生産補助金(生産量に応じて変動)を受ける可能性があります。 |
💡 まとめ
ウィンザーのネクストスター・エナジー社は、一時的なEV市場の減速をチャンスと捉え、EV用バッテリー生産を前提としたカナダ初のギガファクトリーを、急成長する電力・エネルギーインフラ分野への貢献が期待されるESS用LFPバッテリー製造へと柔軟に舵を切りました。これは、工場の稼働維持と、カナダ国内でのエネルギー安全保障およびLFPバッテリーサプライチェーン構築に貢献する、戦略的な転換と評価されています。
出典:https://ca.finance.yahoo.com/news/canadas-first-battery-plant-windsor-110037861.html


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