米国を拠点とするカーボンナノチューブ(CNT)製造会社であるCHASM Advanced Materials, Inc.(CHASM)は、特殊化学品企業であるIngevity Corporation(NYSE: NGVT)と、CHASMの特許取得済みCNT製造技術に関するライセンス契約を締結したことを発表しました。
この提携拡大の主な目的は、北米および欧州で急速に拡大するEVバッテリーギガファクトリーのエコシステムを支えるため、高性能バッテリー材料(CNT導電性添加剤)の安全で現地調達可能なサプライチェーンを構築することです。
🔑 ライセンス契約の主な内容
- 対象技術: CHASMの特許取得済み低コストかつ拡張性の高いCNT製造技術。
- 対象製品: CHASMのNTeC®-E CNT導電性添加剤(バッテリー用途向け)。
- 製造権利: Ingevityは、北米および一部の欧州諸国において、NTeC®-E CNT導電性添加剤を製造する権利を取得します。
📜 提携の背景と製品の優位性
この新しいライセンス契約は、2024年2月に締結された**共同開発契約(JDA)**に基づくものです。JDAでは、CHASMのCNTの性能が既に検証されています。
- 高性能の検証: JDAに基づき、CHASMのNTeC®-E CNTは、Ingevityの研究所やバッテリーOEMなどによって検証されました。
- 導電性: 市販されている他のCNT製品よりも高い導電性を確認。
- バッテリー性能: 高Cレート(急速充放電)および延長されたサイクル寿命において、優れた容量保持を実現。これは市販のリチウムイオンカソードとシリコンアノードの両方で確認されています。
🔋 NTeC®-E CNT導電性添加剤とは
NTeC®-Eは、高純度・高性能の導電性CNT添加剤であり、様々な次世代バッテリー技術への統合を目指しています。
- 適用範囲:
- 市販のリチウムイオンカソード
- 高ニッケルカソード
- シリコンアノード
- ソリッドステート(全固体電池)
- その他の新興バッテリー化学物質
- 提供価値: サプライチェーンのセキュリティとパフォーマンスの一貫性を求める北米およびヨーロッパのバッテリーメーカーに対し、コスト効率の高い国内調達オプションを提供します。
🗣️ 両社トップのコメント
- CHASMのCEO、デイビッド・アーサー氏: この契約は「急速に成長するEVバッテリー業界にとって、信頼性の高い地域産CNT供給体制の構築に向けた大きな一歩」であり、セルメーカーが海外供給に依存せず性能と持続可能性の目標を達成できるようになると強調。
- Ingevityの社長兼CEO、David Li氏: 「CHASMとのパートナーシップにおける重要な一歩」とし、Ingevityが自動車業界向けに活性炭ベースのソリューションを提供してきた40年以上の専門知識を基に、EVバッテリー材料戦略を加速させ、「より強固で回復力の高いサプライチェーン」を構築していくと表明。
🏭 関連情報:カーボンナノチューブ(CNT)の役割
CNTは、電気自動車(EV)用バッテリーの性能向上に不可欠な次世代材料として注目されています。
- 導電性添加剤としての役割: リチウムイオン電池の電極材(特にカソード)に少量添加することで、電子の伝導経路を大幅に改善し、バッテリーの出力密度(Cレート)や寿命、さらにはエネルギー密度の向上に寄与します。
- サプライチェーンの重要性: EV市場の爆発的な成長に伴い、バッテリー材料の安定供給、特に地政学的リスクを軽減するための**現地生産(ローカライゼーション)**の重要性が高まっています。今回のCHASMとIngevityの提携は、この北米・欧州における現地調達ニーズに直接応えるものです。
この提携は、北米と欧州のEVサプライチェーンにおいて、主要なバッテリー材料であるCNTの現地調達を可能にし、安定供給とバッテリー性能の向上に貢献すると期待されます。


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