PowerCoの「ユニファイド・セル技術」(Unified Cell)は、フォルクスワーゲングループの電動化戦略における核心的な技術です。これは、単一の設計フォーマットを採用しながら、用途に応じて内部の化学組成(ケミストリー)を使い分けるという、「標準化と柔軟性の両立」を目指した戦略です。
1. セル設計の「標準化」とコスト削減目標
ユニファイド・セルは、グループ内で使用されるセル設計を統一し、以下の効果を目指します。
- 単一設計: フォルクスワーゲングループ内の全ブランド、全セグメントのEVの最大 80% に搭載される予定です。
- スケールメリット: 標準化により生産の効率が上がり、バッテリーのコストを最大 50% 削減することを目標としています。
- 形状: プルシマティック(角型)の形状を採用しており、統一されたサイズで製造されます。
2. 化学組成の「柔軟性」(マルチ・ケミストリー・アプローチ)
ユニファイド・セルは、セル設計は統一しつつ、車両のセグメントや性能要件に応じて、内部の正極材を使い分けます。
| セグメント | 主な化学組成(ケミストリー) | 特徴と目的 |
| エントリーレベル | LFP(リン酸鉄リチウムイオン電池) | コスト最適化を最優先。安価なモデル向け。 |
| ボリュームモデル | 高マンガン系(コバルトフリーまたは低コバルト) | コストと性能のバランスを重視。主要生産モデル向け。 |
| ハイパフォーマンス | NMC(ニッケル・マンガン・コバルト三元系) | 性能最適化を最優先。高容量、長航続距離モデル向け。 |
| 次世代 | 全固体電池 | 将来的に導入予定。エネルギー密度、急速充電性能、安全性の向上を目指す。 |
3. 技術的優位性
- 高エネルギー密度: このセルは、エネルギー密度が約 660 Wh/L に達するなど、同セグメントで最も強力なバッテリーセルの1つを目指しています。
- コスト削減の内訳: 目標とするコスト削減(最大 50%)は、セル設計の改良(15%)、材料ミックスの最適化(20%)、生産プロセスの効率化(10%)、バッテリーシステム設計(5%)の改善によって達成されます。
ユニファイド・セル技術は、フォルクスワーゲングループが「世界的なバッテリーチャンピオン」を目指し、EVの普及を加速するための基盤となる戦略的な取り組みです。
※ Lartnec LLC調べ


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