マクセル株式会社は、産業機器で広く使われている塩化チオニルリチウム電池(ER電池)と同じサイズ、同じ出力電圧(3.6V)を持つ全固体電池パワーモジュールを開発しました。 従来の「使い捨て(1次電池)」を、長寿命で安全性の高い「充電式(全固体電池)」に置き換えることで、メンテナンスコストの削減と環境負荷の低減を目指します。
主な仕様
- サイズ: 直径17.9mm × 高さ50.0mm(標準的な単3形に近いER電池サイズ)。
- 公称電圧: 3.6V(ER電池の特性に合わせた回路設計)。
- 公称容量: 35mAh(量産中のセラミックパッケージ全固体電池「PSB401010H」を8セル搭載)。
- 動作温度範囲: 放電時で -40度C から +125度C という極めて広い温度に対応。
- 充電方式: 5V入力、USB 2.0 Micro-Bコネクタを介した充電回路を内蔵。
関連情報と重要ポイント
1. 「ER電池」からの置き換えメリット
ER電池は自己放電が少なく、10年程度の長期使用が可能ですが、使い切りであるため、寿命が来ると高所や遠隔地にある機器でも作業員が現地へ赴き交換する必要があります。
- メンテナンスフリー化: 太陽光などのエネルギーハーベスティング(環境発電)やワイヤレス給電と組み合わせることで、半永久的な駆動が可能になります。
- 環境対応: 廃棄電池を排出しないため、近年のESG経営や環境規制に適合します。
2. マクセルの全固体電池の強み
マクセルは、セラミックパッケージ全固体電池で世界をリードしています。
- 安全性: 電解液を使用しないため、液漏れや発火のリスクが極めて低く、過酷な産業環境に適しています。
- 耐熱性: 125度C という高温下でも動作可能な点は、従来の汎用リチウムイオン電池(通常60度C程度まで)に対する圧倒的な優位性です。
3. 想定される用途
- スマートメーター: 電気・ガス・水道の検針用電源。
- FA(工場自動化)機器: メモリバックアップや位置情報保持用。
- インフラモニタリング: 橋梁やトンネルに設置されたIoTセンサーの電源。
まとめと今後の展望
マクセルはこのモジュールにより、既存のER電池を使用しているインフラ設備を、大幅な設計変更なしに「全固体電池駆動」へアップグレードする道を示しました。今後は、さらに大容量化を進めるとともに、ワイヤレス給電などの周辺技術との統合により、バッテリー交換という概念そのものをなくすソリューションの展開が期待されます。


コメント