EU、中国依存脱却へ リサイクル電池・希土類廃棄物の輸出を制限

サプライチェーン

【ブリュッセル発】欧州連合(EU)は、電気自動車(EV)、風力タービン、半導体など、グリーン移行とデジタル化に不可欠な重要原材料の安定供給を確保するため、大胆な戦略を打ち出しました。特に、中国への過度な依存を脱却するため、2026年初頭よりリサイクル可能な電池スクラップや希土類廃棄物の輸出を厳しく制限する計画です。これは、希土類磁石などの戦略物資に対する中国の輸出規制強化への明確な対抗措置であり、EU独自の強靱なサプライチェーン構築に向けた重要な一歩となります。


📝 「REsourceEU」計画:自律性を高める輸出制限と投資

欧州委員会が提案する「REsourceEU」計画は、2023年に採択されたEU重要原材料法(CRMA)の成立を加速させることを目的としています。EUは、特定の原材料の需要の65%以上を単一国に依存しないという野心的な目標を掲げており、その達成には域内でのリサイクル能力の向上が不可欠です。

1. 輸出規制による域内リサイクル促進

この計画の核心は、リサイクル可能な原材料を域外に流出させないための規制強化です。

  • 輸出制限の開始: 2026年初頭から、リサイクル可能な希土類廃棄物バッテリースクラップの輸出が制限されます。
  • 有害物質指定: 2026年9月以降、廃棄リチウムイオン電池黒鉛塊有害物質に分類され、OECD非加盟国への輸出が禁止されます。
  • 潜在的な影響: 共同研究センターの試算では、EUが排出する「黒色粉末」(ブラックマス)の約50%から65%を域内で処理できるようになり、これは年間最大100万個の新しいEV用バッテリーパックの生産に貢献する可能性があります。また、希土類廃棄物のリサイクルだけでも、EUの永久磁石需要の**20%**を満たすことが期待されています。

2. 30億ユーロの戦略的投資

EUは、サプライチェーンの強化と単一国への依存度を2029年までに最大50%削減するため、今後1年間で30億ユーロ(約35億ドル)を投資します。この資金は、欧州投資銀行(EIB)、バッテリー・ブースター、ホライズン・ヨーロッパ・プログラムから拠出されます。


🛡️ 新たな供給確保の柱:欧州重要原材料センターの設立

この戦略の中核を担うのが、2026年に開設が予定されている欧州重要原材料センターです。このセンターは、加盟国間の協調体制を確立し、安定供給を確実にするための重要な機能を果たします。

  • 主な任務:
    1. EU全体の原材料ニーズの監視と評価
    2. 加盟国に代わっての共同購入(マッチメイキングプラットフォームを通じて2026年3月に開始予定)。
    3. 必要に応じた備蓄と配送の管理。

特に、共同購入プラットフォームは、世界市場でのEUの交渉力を高めることを目的としています。しかし、業界内からは、このプラットフォームが安価な中国からの供給と競争できる保証がないとの懸念も上がっており、欧州委員会は現在、競争力を確保するための最低価格メカニズムの設計に取り組んでいます。


🎯 戦略的自律性へのロードマップ

EUのこの一連の措置は、単なる貿易規制に留まらず、原材料の調達から加工、リサイクルまで、サプライチェーン全体を域内に取り込むことで、戦略的自律性を確立しようという強い決意の表れです。重要原材料法に基づく採掘、加工、リサイクルのベンチマーク設定と、今回の輸出制限や共同購入の導入により、EUは脱炭素社会への移行を自らの手で加速させることを目指しています。

出典:https://www.reuters.com/world/china/eu-introduce-export-restrictions-rare-earth-magnet-waste-early-2026-2025-12-03/

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