2025年10月17日、ゼネラルモーターズ(GM)とその合弁パートナーである韓国のポスコ・フューチャーMは、カナダ・ケベック州ベカンクールで進行中のバッテリー材料工場**「Ultium CAM」**の第2期拡張プロジェクトを一時停止すると発表しました。
この決定は、北米市場における電気自動車(EV)に対する消費者需要の低迷に加え、米国およびカナダ政府によるEV移行への政策支援が縮小していることを主な理由としています。
1.一時停止されたプロジェクトの概要
| 項目 | 詳細 | 補足情報 |
| 工場名 | Ultium CAM(GMとポスコ・フューチャーMの合弁) | カソード活性材料(CAM)を生産。 |
| 場所 | カナダ、ケベック州ベカンクール市 | 北米のバッテリーサプライチェーン集積地として注目されていた地域。 |
| 第1フェーズ | 予定通り進行中 | 来年、EVバッテリー用CAMの生産を開始予定。 |
| 第2フェーズ(一時停止) | 拡張プロジェクトの凍結 | 当初は統合型バッテリー前駆材料工場を含め、**10億米ドル(約13.7億カナダドル)**を超える大規模投資となる計画でした。 |
| 関連プロジェクトの中止 | 硫酸ニッケル工場計画 | GMに原料ニッケルを供給する予定だったヴァーレ・ベースメタルズも、関連する原料工場(3億2500万カナダドル規模)の建設計画を中止しました。 |
GMカナダの広報担当者は、「市場の動向の変化を考慮し、プロジェクトの第2フェーズを一時停止する」と述べています。
2.背景にあるEV市場の冷え込みと政策の動向
今回の決定は、GMがEV戦略を見直している動きと連動しています。
- GMの戦略変更: GMは10月14日、EV生産計画の縮小に伴い16億ドルの費用を計上すると発表しました。
- 米国の政策変更: GMは、EV購入に対する7,500ドルの優遇税制(インセンティブ)が9月に終了したことなど、米国政府の政策変更を理由に挙げています。
- カナダの政策変更: カナダでは、連邦政府による消費者向け5,000カナダドルのEVインセンティブプログラムの資金が1月に枯渇しました。政府は復活を約束しているものの、具体的な時期は未定です。
3.ケベック州のサプライチェーン計画への打撃
今回のGM合弁事業の縮小およびヴァーレの計画中止は、バッテリーサプライチェーンの主要拠点となることを目指していたケベック州にとって、大きな挫折の連鎖となっています。
- フォードの撤退: 2024年後半には、フォード・モーターが同じベカンクールにある合弁のバッテリー材料工場(12億カナダドル規模)から撤退し、建設作業が中断されました。
- ノースボルトの破綻: 近隣のモントリオールで計画されていたノースボルト社の70億カナダドル規模のバッテリーセル製造工場も、同社が今年初めに破産手続きに入ったことで危機に瀕し、ケベック州政府は9月に正式にプロジェクトを中止しました。
ケベック州のクリスティーヌ・フレシェット経済大臣は、これらの挫折は世界的な減速の一部であると認めつつも、依然として多くのバッテリープロジェクトが進行中であり、GMのプロジェクトが将来的に再開されることに期待を示しています。


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